はじめに
マルチメディアも一般的なものになり、作成するアプリケーションでも画像や音楽、動画といったものを扱うことが増えてきました。とは言うものの、例えば画像一つとっても、その画像を扱うプログラミングはなかなか大変なものです。そんなときに、開発の大きな力となるのが、今回紹介する「ImageGear」(イメージギア)です。
対象読者
Visual Basic 2005を使ってプログラムを作ったことがある人。画像を扱うアプリケーションを作成したい人。
必要な環境
最小要件として、Pentiumクラスのプロセッサ、64MB RAMとなっていますが、当然のこととして、オペレーティングシステムや開発環境/実行環境が、想定している最小要件を満たす必要があります。オペレーティングシステムとしては、32ビットオペレーティングシステム(Windows 98SE/Me、Windows 2000/XP、Windows Server 2003、Windows Vista)に対応しており、開発環境としては、Visual Basic 6.0、Visual C/C++ 6.0、Visual Studio .NET 2003、Visual Studio 2005に対応しています。
また、ActiveXやC/C++スタイルのDLLが扱える開発環境、例えば、Borland Delphi(現CodeGear RAD Studio)や、別のコンポーネントをインストールする必要はありますがJavaでも、ImageGear V15を利用することが可能です(注)。
.NET Frameworkプラットフォームだけに特化した製品として、ImageGear for .NETも用意されています。ActiveXやアンマネージドDLLを利用しない、ということであれば、こちらの製品を選択するというのも一つの手だと思います。
ImageGearの特徴
画像を扱うアプリケーションとして求められる機能には、例えばJPEGやGIF、TIFFといったいろいろな画像フォーマットのファイルを読み込み、コントラストや輝度を変えたり、グレースケールに変換したりといった各種画像処理、または別のフォーマットでの保存、といったものが考えられます。言わば、Photoshopなどの各種画像処理アプリケーションで行っている作業そのものです。
このような処理をアプリケーションに実装するには、どうすればよいでしょうか。例えばJPEG2000形式のファイルを読み込み、他の形式へと変換するアプリケーションを考えてみます。その場合、JPEG2000の読み込み処理をどう実装するかがポイントになるでしょう。
JPEG企画策定委員会のJPEG2000のページには、確かに仕様書が置いてあります。しかし、第一章だけで200ページを超えるドキュメントを読みこなして、対応するアプリケーションを作成するのは非現実的であると言わざるを得ません。
そうなると、何らかのライブラリやコンポーネントを使うというのが、現実的な解決策となります。ImageGear V15は、100種類を超える画像フォーマットへの対応をはじめ、Webサイトで紹介されているように、とても多くの機能を備えています。
その中で、注目したいのが「GUI開発環境」と「RAWファイルフォーマットサポート」です。前者は、ソート機能を備えたサムネイルブラウザや画像の一部を拡大できる拡大ウィンドウなどを提供するものですが、このあたりの機能をアプリケーションで実装するには、たとえコンポーネントを使ったとしても、それなりに手間がかかります。それが最初から用意されていることは、開発者にとって力強い助けとなるでしょう。
後者については、カメラメーカーがそれぞれ提供している独自のファイル(RAWファイル)フォーマットを、そのまま扱うことができるというものです。もちろん、いったん標準的なファイルに変換することもできるのですが、それにより画質が落ちたり、変換のために時間がかかったりと、よいことばかりではありません。オリジナルフォーマットのままで画像を扱うことができるため、ユーザーの高い要求を満たすことが可能です。