「ネオ・ナレッジマネジメント論-ネットワーク上のプラットフォームを活用した新しいコラボレーション形態を探る」では、ニコニコ動画と初音ミクの担当者が登壇し、大ヒットの要因を語った。
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「ネオ・ナレッジマネジメント論-ネットワーク上のプラットフォームを活用した新しいコラボレーション形態を探る」では、ニコニコ動画と初音ミクの担当者が登壇し、大ヒットの要因を語った。
冒頭、進行役のみずほ情報総研コンサルティング部・吉川日出行氏は、「これまでのナレッジマネージメント、情報共有の形としては、検索やグループウェアを活用した第1世代、SNSやブログを利用した第2世代があった」と説明、しかし第1世代は情報が集まりすぎてうまく活用できないという問題があったこと、第2世代は情報を共有している感覚はあるものの数値的な成果がわかりづらい問題があったことを挙げた。
これに対しニコニコ動画やピアプロでは、「作る、発表する、見る、新しいことに気づくという、ぐるぐる巡回する情報共有が展開されている。また多くの人が積極的に参加して、コンテンツの質が上がっていくなど成果も出ている。これがいわゆる第3世代のナレッジマネージメントのヒントになるのではないか」と述べた。
ニコニコ動画の場合
セッションは2部構成で行われた。まずはニコニコ動画の事例紹介として、株式会社ドワンゴ研究開発部部長・溝口浩二氏が登壇した。
ニコニコ動画の魅力について溝口氏は、「自分の好きな動画に対し同じような感性を持った人が多く見ており、タイミングをつけてコメントすることで感情を共有できる点がおもしろいのではないか。また、子供のころ仲間内でゲームや絵の自慢をしていたことがあるが、そんな感覚に似ている要素があると思う」と分析した。
吉川氏が「ニコニコ動画というと、多くの人に認めてもらいたい、見てもらいたいという承認欲求充足とセットで語られることが多いが、その点についてはどうか」と聞くと、「褒められたら普通に嬉しいですよね。やはり自分がいいと思ったものを嬉しいと言ってくれるのは嬉しい」と述べ、管理職の溝口氏自身、新人を指導する際に褒めることを心がけていることに触れ、「褒められると伸びる人が多い」とその実感を語っていた。
また、「日本の国民性かどうかわからないが、目立つ人をバッシングする傾向があるかもしれない。当初ニコニコ動画には名前欄があったが、名前を入れている人が叩かれてしまう雰囲気があったのでやめた経緯がある。運営者としては、場が悪くなると投稿者・コメントする人の両者が萎縮してしまうので気をつけている」と述べた。
ドワンゴ社内における情報共有については「メールやメッセンジャーはもちろん、SkypeやTwitter、Wikiなどを活用している」とのこと。「そんなに使いこなせるのか」という質問については「全て使いこなしている人は少数で、多くの人は必要に応じて使いこなすという形。また、ツールを使うことににこだわっているわけではなく、直接会って話す方が早いのであればどんどん会って話したり、会議をしたりしている」とツールの特性に応じて活用することの重要性を強調した。
溝口氏によるとニコニコ動画ユーザーの男女比は「10代後半はほぼ半々、20代30代は男性が多く女性は少ない。また40代以降のユーザーはあまりいない」という。また、会場で「会社からニコニコ動画を見られるか」とアンケートを採ったところ、その比率はほぼ半数だった。
最後に「ドワンゴの人達もニコニコ動画を見ているのか」という問いかけには、「見ている人は結構多い。みんな楽しみながら見ている」と回答していた。
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