AI導入と開発生産性向上への挑戦
西田氏はGMOペパボ株式会社、ロリポップ・ムームードメイン事業部 事業開発チームに所属しており、普段はWebアプリケーションのエンジニアとして、主に新規事業開発を担当している。近頃は開発業務に加えて、エンジニア組織におけるAI活用の推進や、開発生産性向上への取り組みも行っており、きのすけ(@kinosuke01)というアカウント名でXでの発信を行っている。
まずはじめに「本セッションを通して、開発におけるAI活用の解像度向上や、皆さんがAI活用の未来像を描くヒントにつなげることを目指したい」と本セッションのゴールを述べた。
西田氏は、講演の前提として「まず物量が増える世界を想定する必要がある」と説明した。AIがコードを大量に生成できるようになると、既存のレビュー体制では処理しきれない場面が生じ得るためだ。
「皆さん想像してください。AIが例えば1日に100プルリクエストを作ってあなた1人にレビュー依頼を出してきたりとか、1日に数万行コードを書いてあなた1人にレビュー依頼を出してきたりとかしたら、とてもじゃないけど耐えられないと思うんですよね」と具体的な例を挙げた上で、コードの内容を確認せずに承認しても、不具合やさまざまな問題が生じることを指摘した。
しかし西田氏は、圧倒的な物量を抑えることではなく「物量に耐える仕組みづくりがエンジニアの本質なんじゃないか」という結論を導き出した。GMOペパボでは、この前提を踏まえつつ、まずはAIによる「物量を増やす活動」から着手しているという。
また事前説明として、本講演で中心的に登場する3つのAIコーディングエージェントについても紹介した。
1つ目はClaude Codeで、Anthropic社から提供されているCLIベースのAIコーディングエージェントである。2つ目はClaude Code Actionsで、Claude CodeをGitHub Actionsで実行できるカスタムアクションであり、GitHubのIssueで実装指示を出すとAIが実装してくれる環境を実現できる。3つ目はCursorで、Anysphere社から提供されているVS CodeからフォークされたAIコードエディターである。
西田氏はこれら以外にも多くのAIコーディングエージェントを利用しているが、本講演で中心的に登場するのはこの3つだとした。
