国外から見たAI社会の現在地。日本でのビジネスチャンスは?
はじめのテーマは、国内外におけるAIの最新動向だ。足繁くシンガポールを訪れ、現地の様子を熟知する浜崎氏は、同国のチャンギ空港をAI活用の例として挙げた。
チャンギ空港では、入国審査における顔認証とパスポート認証が自動で行われており、税関職員と対峙する必要がない。
さらに、タクシーアプリ専用のレーンも配置されているため、歩きながらタクシーを予約すると、ゲートを通過した時にはタクシーが到着している。乗車するとすぐ市街地まで行けるため、着陸してからホテルで荷ほどきするまで1時間もかからないという。

しかし、この便利さは徹底した監視と表裏一体だ。それを象徴するエピソードとして浜崎氏は、「ある日の朝、バス専用レーンを社用車で通ってしまったところ、午前中には罰金の通知が届いた」という知人の話を紹介する。道路上のカメラが車のナンバープレートを割り出し、即座に罰金の通告を送ったわけだ。
監視社会とテクノロジーの便利さは紙一重だ。徹底的な自動化を便利なものとするか、自由がないと感じるか。シンガポールの取り組みは、そのバランスの難しさを問いかけるものと言える。
さらに浜崎氏は、「自動化の難しさは、AIに限らない」として、自動運転を手がけるTier IV(ティアフォー)のCEOらとの会談についても共有する。アメリカ西海岸ではすでに自動運転車が数多く走行しており、日本はアメリカの背中を追う形となっている。しかし、自動運転における最大の課題は「技術」ではなく「気候」だという。日本は雨が多く雪も降るが、アメリカ西海岸は年間300日以上晴れているので、気候が大きく異なる。
「海外のすぐれた事例をそのまま持ってくるだけでは、フィットしないかもしれない。日本という場所に合わせたビジネスチャンスを発掘してほしい」と、浜崎氏は会場のエンジニアに呼びかけた。
これに対して我妻氏は、モンゴルを半月ほど訪れ、講演を行った際の経験を語る。講演後にロシア国境の湖を訪れた時、トナカイの遊牧を行っている少数民族が普通にスマホを所持していたというのだ。「スマホがあればAIが使える。AIの影響は世界中に行き渡っているんだなという印象を持った」(我妻氏)
さらにモンゴルにおいて、CS業務における日本との共通点も発見した。それが「感情労働」に対する疲労感だ。同氏が講演を行った通信会社においては、顧客から寄せられる要望への対応をAIがサポートすることで、職員のメンタルヘルスを向上させているという。「モンゴルでの経験から、AIの驚異的な広がりを感じた」と結んだ。
