「工数=成果」ではない。新卒1年目で直面した「アウトカム」の壁
高田氏のキャリアは、本人が「川下り」と表現するように、計画的に積み上げたものではなく、目の前のチャンスに必死に応えることで切り拓かれてきた。ウエディングパーク入社当時は「仕事をする中で個人の力をつけて、強いエンジニアになりたい」という、いわば個人志向の強いモチベーションを持っていたという。しかし、開発現場での経験を重ねるうちに大きく変化する。
最初のターニングポイントは、入社1年目で担当した新規コンテンツ「ムビレポ」の新機能開発だった。当時、まだ技術力が未熟だった高田氏は、先輩エンジニアに頼りながら、想定以上の工数を費やしてなんとか実装を完遂した。
「これだけ頑張って作ったのだから、きっと成果が出るはずだ」。無意識のうちに「かけた工数」と「成果」は比例すると信じていた。しかし、リリース後の現実は違った。期待していたほどの効果は得られず、「頑張ったことが報われない悔しさ」を味わうことになったのである。
この経験が、高田氏に最初の重要な視点をもたらした。「どう作るか」だけでなく、「リリース後の成果(アウトカム)」を考えなければならないという気づきである。
この失敗を経て、高田氏の仕事への向き合い方は大きく変化した。「スキルアップしたい」という思いは変わらないが、その対象が「実装力」だけでなく、「事業としての成果を出すために必要なこと」全般へと拡張されたのだ。
具体的には、機能の実装に留まらず、「もっと処理速度を早くできないか」とパフォーマンス改善を調査したり、「類似機能の効果はどうなっているか」と自社サービスの事例を調べたりするようになった。効果を出すために必要な領域へと、自ら学習の範囲を広げていったのである。
さらに、担当案件とチーム目標とのつながりを理解しようとする姿勢も生まれた。
「この機能を実装するなら、こちらの仕様の方がKPIに貢献できるのではないか」「ここに工数をかけるよりも、別の部分にリソースを割くべきではないか」。そうした視点を持つことで、ディレクターや上長に対して自然と提案ができるようになった。ただ言われたものを作るだけの作業者から、成果にコミットするパートナーへ。この「アウトカムを意識する」という思考の転換(STEP 1)が、結果として周囲からの信頼を積み重ね、次のキャリアへとつながっていったのである。
「自分より優秀なメンバー」を率いるリーダーの苦悩と「自分ごと化」
次なる試練は、入社3年目に訪れた。大規模なシステムリプレイス案件である。既存サービスをEC2からECS(コンテナ環境)へ移行するという技術的難易度の高いプロジェクトにおいて、高田氏はエンジニア兼任の「プロジェクトリーダー」に抜擢された。
チームには、社内の技術を牽引するテックリードや、経験豊富なパートナーエンジニアが名を連ねていた。技術力でも経験値でも自分を上回るメンバーがいる中で、若手の自分がリーダーとして一体何の価値を発揮できるのか。「リーダーとして僕ができることは何だろう」と不安に苛まれる高田氏に対し、EMはシンプルな指針を示した。
「まずは誰よりもプロジェクトを理解すること」そして、「小さなことでも決断回数を増やし、提案することで価値を発揮する」ことだった。
しかし、理屈で分かっていても実践は難しい。実際、プロジェクトリーダーとして「これで進める」と決断したスケジュールがうまくいかず、他メンバーに想定以上の負荷をかけてしまう失敗も経験した。個人の担当範囲であれば自分の努力でカバーできるが、リーダーの判断ミスはチーム全体に波及する。この痛みを伴う経験を通じて、高田氏は「プロジェクトを自分ごと化する」こと(STEP 2)の重要性を骨身に染みて理解した。担当案件のアウトカムだけでなく、プロジェクト全体の影響範囲と成果に責任を持つ覚悟が決まった瞬間だった。
では、経験の浅いリーダーがチームを牽引するために、具体的にどのような行動をとったのか。
一つ目は、「コードレビューを先輩より意識的に早く見る」ことだ。自分より技術力のある先輩のコードをレビューするのは勇気がいる。「はじめは自分が指摘できなかった点を、後から先輩に指摘されるのが怖かった」と高田氏は振り返る。しかし、だからこそ先にレビューを行い、その後に先輩が入れた指摘との差分を確認する。それが自分に欠けている視点を学ぶ絶好の機会となった。
二つ目は、「ディスカッションの場で先に意見を言う」ことだ。以前はミーティング中に先輩の意見を聞いても「この時はそう判断するのか」で終わっていたが、プロジェクトの目的を自分ごと化してからは、先輩と意見が違ったときに「僕だったらこう判断したが、なぜ先輩はあの判断だったのか?」と違いや理由を考えるようになった。この思考プロセスを繰り返すことで、単なる「確認」ではなく「視座の答え合わせ」ができるようになり、学びの質が劇的に向上したという。
技術と事業がつながる瞬間。そして「生成AI」への挑戦へ
アウトカムを意識し、プロジェクトを自分ごと化する。エンジニアとしての視座を高めてきた高田氏だが、成果を出し続けているシニアエンジニアたちと接する中で、依然として「言語化できないギャップ」を感じていた。その正体をつかむきっかけとなったのが、3つ目のステップである、データのスペシャリスト育成プロジェクトでの経験だ。
このプロジェクトで高田氏は、Looker Studioによる可視化やBigQueryでのデータ抽出など、データ領域の技術スキル習得に取り組んでいた。ある時、セールス部門から「クライアントへ提案するための武器として、こんなデータが欲しい」という相談が舞い込む。
単にSQLを書いてデータを抽出するだけなら、それは作業に過ぎない。しかしここで高田氏は、習得した技術を駆使し、さらに先輩エンジニアのアドバイスも受けながら、「このデータを活用すれば武器にしてもらえるはずだ」という仮説のもと、データを整形してアウトプットした。
結果、クライアントから「このデータを元に次の施策を一緒に練りたい」という言葉をもらうことができ、セールス担当者からも感謝された。これが、「技術」が「事業貢献」になった瞬間だった。
優秀な先輩たちが持っていた「差」の正体は、まさにこれだった。「技術力」単体ではなく、その技術を「事業課題」や「組織課題」といかに結びつけるか。その紐づけの思考こそが、エンジニアとしての価値を決定づけていたのだ。
「技術の幅は、事業貢献の幅に直結する」。しかし、それは技術だけを学んでいては到達できない。セールスの要望、メディアの課題、業界の課題といった「事業理解」があって初めて、手持ちの技術が解決策として機能する。
STEP 3の「『事業理解』と『技術』をセットで! 紐づけを常に考える!」という思考は、高田氏がキャリアを通じて辿り着いた一つの答えだった。
現在は、生成AIを用いた新規コンテンツの立ち上げチームに所属している高田氏。ここでもスタンスは変わらない。生成AIという最新技術をキャッチアップするだけでなく、「自社の事業課題や業界課題に対して、生成AIで何ができるか」という紐づけを常に考え続けている。
入社当時の「個人の力をつけたい」という思いは、いまや「事業成長に向けて組織課題にアプローチできるエンジニアになりたい」という、より大きな視点へと進化した。これからキャリアを積んでいくU35世代のエンジニアに向けて、高田氏は自身の経験を整理し、3つのステップを提示する。
- アウトカムを意識し、作ることだけに固執しないこと
- プロジェクトの目的を自分ごと化すること
- 事業理解と技術をセットで考え、紐づけを行うこと
「3つのステップの中で、参考になるものがあればぜひ持ち帰っていただきたい」。そう呼びかけて高田氏はセッションを終えた。
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