アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下、AWSジャパン)は2026年1月27日、記者説明会を開催し、2026年の事業方針と日本市場への継続的な投資戦略を発表した。「フィジカルAI」の開発支援に特化した新プログラムの立ち上げを含む、技術・信頼性・人の3本柱を軸とした包括的な戦略を提示した。
同社は日本でのリージョン開設から15年、AWS誕生から20年という節目を迎え、「日本のために、社会のために、その先へ」という新たなテーマを掲げた。代表執行役員社長の白幡晶彦氏は「短期的な利便性だけでなく、長期的な視点で日本のために何が必要かを自問自答し、その先を目指す」と、日本市場への深いコミットメントを強調した。
白幡氏は、2027年までに国内のAIおよびクラウドインフラへ約150億ドルを投資する計画が順調に進展していることを報告した。東京リージョンは、アジア地域で最大のサービス群を提供しており、世界39リージョンの中でも投資の優先順位が高いことを強調。特に、製造、金融、公共など数十万に及ぶ国内の顧客がAWSを活用し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させている現状が共有された。
2026年の新施策として発表したのが「フィジカルAI開発支援プログラム」だ。これは、日本が強みを持つロボティクス分野において、視覚・言語・動作を統合的に処理する「ロボット基盤モデル」の開発を支援するものだ。背景には、Amazonグループ自身が世界で約100万台のロボットを稼働させている実績がある。Amazonでは生成AI基盤モデル「DeepFleet」を活用してロボット群の稼働時間を10%改善するなど、豊富な運用ノウハウを持つ。
本プログラムでは、こうした知見とAWSの計算リソース、さらに総額600万USドル規模のクレジットを提供し、データ収集からシミュレーション、実機デプロイまでを一気通貫で支援する。本日より応募受付が開始されている。
常務執行役員 技術統括本部長の巨勢泰宏氏は、基盤インフラの重要性について触れ、次世代ネットワーク技術「ホロコアファイバ(中空コアファイバ)」の実装により、データセンター間の遅延速度を30%改善したことを明かした。これにより、アベイラビリティゾーン(AZ)の物理的な制約が緩和され、より柔軟で堅牢なシステム設計が可能になる。
またAI関連では、AIエージェントの自律性を支える「Amazon Bedrock AgentCore」や、仕様駆動開発により開発生産性を向上するIDE「Kiro」について紹介した。
常務執行役員 パブリックセクター統括本部長の宇佐見潮氏は、人材育成の成果として、2017年からの累計で80万人以上にクラウドスキル研修を提供した実績を発表した。また、旭川高専や富山高専との包括連携、地方自治体との「デジタル社会実現ツアー」など、都市部だけでなく地域に根差した人材供給と課題解決のサイクルを構築している。
また、生成AIのユースケースをオープンソースとして公開している「GenU」活用の拡大や、ソフトウェア開発ライフサイクルにAIを組み込んだ方法論「AI駆動開発ライフサイクル(AI-DLC)」についても紹介された。
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近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)
株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...
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