本連載の趣旨
本連載は、Laravelの変更点を紹介する連載です。
Laravelは、PHPのフレームワークとして、デファクトスタンダードの位置をしめており、多くのアプリケーションで利用されてきています。そんなLaravelは、毎年第1四半期(Q1)にメジャーアップデートを行うリリーススケジュールを採用しています。そのスケジュールに従って、最新バージョンであるバージョン13が、2026年3月17日にリリースされました。
バージョン13では、PHPの最小バージョンが8.3となった点を除けば、それほど多くの変更点はなく、破壊的変更もほとんどありません。一方で、インパクトの強い機能としてAIとの連携機能があります。そこで、連載の初回である今回は、Laravelのバージョン13で組み込まれたAI機能を紹介します。
Boostによるアップデートを自動化
Laravelの公式ドキュメントのリリースノートには、各バージョンのサポートポリシーが記載されています。
それを参照すると、ひとつ前のバージョンである12は、バグフィックスが2026年8月13日まで、セキュリティに関する修正でさえ2027年2月24日までとなっています。ということは、現在バージョン12で作成しているプロジェクトは、できるだけ早くバージョン13へアップデートする必要があります。
こういったアップデートはそれなりに手間がかかるものですが、現在AIによってアップデートを自動化できる仕組みがあります。まず、その方法を紹介していきます。
なお、本連載のサンプルデータは、GitHubから参照できます。
Laravel公式のAIツールであるBoost
Laravelには、公式のAIアシスタントとしてBoostというツールがリリースされています。比較的新しいツールで、2025年8月25日に正式リリースされ、2026年1月26日にメジャーアップデートであるバージョン2がリリースされています。
最近のAIの発展度合いを見ると、Boostを利用しなくても、Laravelプロジェクトの12から13へのアップデートは、GeminiやClaude Code、CopilotなどのAIエージェント単体でできそうです。一方で、BoostはこれらのAIエージェントと比べてLaravelに特化したデータを提供し、Laravelアプリケーション作成のイロハに従ったコードを提供してくれるので、より精度の高いAIによるコーディングサポートが可能となります。
既存プロジェクトへのBoostの適用
このBoostを、Laravelバージョン12で作成したプロジェクトに適用し、バージョン13へのアップデートを行ってみます。
題材としては、拙記事「Laravelの新しいスタータキットでLivewireプロジェクトを作成──Livewireの基本的な使い方」で作成したfirst-livewireプロジェクトです。
Boostが含まれていない既存プロジェクトには、まずBoostを追加する必要があります。次のコマンドを実行して追加します。
composer require laravel/boost --dev
これで、Boostのライブラリは追加されましたが、Boostの機能そのものはプロジェクトに追加されていません。そこで、次のコマンドで追加します。
php artisan boost:install
すると、コンソール上に図1のように表示され、追加するオプションを選択するようになっています。記載の通り、スペースバーでどれを追加するかを選択できるようになっています。
図1の選択肢を簡単に解説しておきます。
AI Guidelines
AIガイドラインは、その名称通り、AIエージェントがLaravelプロジェクト内のファイルやデータにアクセスするために守るべきルールや最適解が記載されたファイルのことです。これを追加しておかないと、AIエージェントが正しくLaravelプロジェクトの改変を行えません。
Agent Skills
エージェントスキルは、Boostのバージョン2から追加された機能であり、AIガイドラインと似たようなものです。ただし、AIガイドラインがプロジェクト全体に対するべきべからずなのに対して、エージェントスキルは、もっと細かく、ツールやパッケージへの操作指示のルールです。さらに、AIガイドラインがAIエージェント起動時に読み込まれるのに対して、エージェントスキルは、実行時に読み込まれるという違いもあります。
Boost MCP Server Configuration
MCPは、Model Context Protocolの略であり、AIエージェントとユーザーのデータソースを安全に繋ぐための仕組みです。そのサーバーをLaravelプロジェクトに用意することで、AIエージェントがLaravelプロジェクト内のファイルやデータとやりとりできるようになります。
基本的には全てを選択します。選択が済んだら、Enterを押下します。すると、図2のAIエージェントの選択肢が表示されます。ここでは、筆者の環境で利用可能なGemini CLIとCopilotを選択されています。選択後、Enterを押下します。
すると、BoostのMCPサーバとガイドライン、スキルが追加され、プロンプトが戻ります。途中、図3のように追加されたガイドラインとスキルが表示されます。これらのガイドラインは、利用するAIエージェントやプロジェクト構成によって異なります。
なお、Boost追加後にガイドラインとスキルを最新に更新する場合は、次のコマンドを実行します。
php artisan boost:update
MCPサーバーの起動
これで、AIエージェントを利用できる準備が整いました。ただし、Claude CodeとCodex support、Gemini CLI以外のAIエージェントを利用する場合は、MCPサーバーを起動しておく必要があります。
VSCodeのコマンドパレットから「MCP:サーバーの一覧表示」を選択し、表示されたリストからlaravel-boostを選択します。表示された選択リストから「サーバーの起動」を選択し、MCPサーバーを起動します。
プロジェクトのアップデート
これで全ての準備が整ったので、早速バージョン13へのアップデートを行います。AIエージェントとのチャットに、次のコマンドを入力します。
/upgrade-laravel-v13
すると、GeminiやCopilotなどのAIエージェントがプロジェクトを解析し、アップデートするファイルとコードを特定し、変更するコードを作成します。その都度、変更してよいかどうかをプロンプトでたずねてくるので、許可してください。
最終的にさまざまなファイルのさまざまなコードが変更され、プロジェクト全体がLaravel13へとアップデートされます。図4は、筆者が利用したGemini CLIによる最終の出力です。アップデートが無事終了しているのがわかります。
