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ライフスタイル/コーディングスタイル、四者四様の“流儀”からなにを学ぶか?
ITpro Challenge!レポート(後編)

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2008/09/10 20:55

目次

勉強会で得た知識から次のオープン仕様を

 続いて宮川さんは、2003年に「Shibuya.pm」というPerlユーザーのコミュニティを立ち上げる。渋谷を名乗ったのは、当時はまだ「ビットバレー」という言葉もあり、自虐的な面白さも狙ってのこと。Shibuya.pmではセミナーを数多く開き、日本でもオープンな情報交換や議論ができて「ほんとによかった」と宮川さんは振り返る。

 Shibuya.pm からは、Shibuya.js (JavaScript) やShibuya.abc (ActionScript) といった派生コミュニティも生まれ、技術を共有することの面白さそのものが共有されて、現在の勉強会ブームにつながっていることは間違いないだろう。これは記者の私見だが、コミュニティベースのセミナーや勉強会はそれまでいくつもあったものの、後発に与えた影響という意味では、セキュリティ分野で伊原秀明氏が主催していた「Port139勉強会」と、この「Shibuya.pm」が双璧といってもいいのではないだろうか。

 ここで司会の吉岡弘隆さんが、「IT勉強会カレンダー」に見られるように、今や毎日のように数多くの勉強会が開催されていることを紹介。宮川さんも、東京には人口密度が高いのですぐに人が集まることができるメリットがある。サンフランシスコではこんなイベントを毎週毎週は開催できないと語った。

 Shibuya.pmの活動は、2006年から毎年春に開催されていているコミュニティベースのPerlカンファレンス「YAPC::Asia TOKYO」につながっている。これらの活動で宮川さんは先のOSCでPerlコミュニティから表彰されたが、「みんなが受賞して、ぼくが代表して受け取ってきただけという感じ」だと謙虚に受け止めた。YAPC::Asia TOKYOでは、スポンサーもPerlコミュニティを理解して参加している企業ばかりで、会社や所属の枠を超えた交流が実現されている。

 宮川さんの現職では、TypePadの開発に携わっている。TypePadはひと世代前のブログホスティングの印象もあるが、シックスアパートにとってとても大事なプロダクトで、現在はコードベースを新しくしているところでもあり、OpenWebやOpenID、OpenSocialなどにも対応していきたいと語る。

 OpenIDなどのオープンな仕様は、競合他社が集まって仕様を考えており、ウェブ開発者がそこでコントリビュートする側に回ることができる。宮川さんも現在の同僚にOpenIDのファウンダーがおり、自身もMobile link DiscoveryやOpen Media Profile for Open Searchといった公開仕様の開発に携わった。

 さて、ここで冒頭の「代表作は?」という疑問にもどってみたい。宮川さんは、世間がまだブログのなんたるかを知らないころからRSSの有用性を紹介し、業務上の生産性とモチベーションを上げるためにフレームワークを開発し、コミュニティをとりまとめ、そしてオープンなウェブ仕様の開発に参加している。共通することは、やがてそうなるだろうという流れを先んじてキャッチし、それを独り占めするのではなく、広く普及するような枠組みを作るということだ。

 枠組みが決まれば、多くのひとがコミットできるし、コミットするひとが増えれば、枠組みを作った自分自身の利益にもつながる。Plaggerというソフトウェアにしても、何かをXMLでアグリゲートしてなにかに変換して出力する、という枠組みこそ宮川さんが作ったのだが、そこで実際にどんな面白いことができるかは、プラグインをコントリビュートする多くの開発者のアイディアとハックにかかっている。

 そして、多くの日本の開発者にも、誰かが決めた仕様を追いかけるだけでなく、もっと枠組みを作る側、つまり現在ならオープンなウェブ仕様をコントリビュートする側に回ってほしいと語る。日本人のプログラマー(あるいはそのコミュニティ)の実力は高い。それゆえに「NOT CODING IS A CRIME(コードを書かないなんて犯罪だろ)」という言葉で講演を締めくくった

 ちなみにこれは米EFF(電子フロンティア財団)による「CODING IS NOT A CRIME(コードを書くのは犯罪じゃないだろ、常考)」ステッカーのもじりなのだが、次の講演者へのメッセージも込められているのではないかとも思えた。

Coding is Not a Crime
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  • CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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