はじめに
SDLというライブラリをご存知でしょうか。「SDL(Simple DirectMedia Layer)」はオープンソースで開発されている、シンプルな構成のマルチメディアプログラミング向けライブラリです。手軽さから多くのプログラミング言語向けに様々な実装が存在しています。
その中から本稿では、2回に分けて「SDL.NET」というSDLの.NET Framework向け実装の一つを紹介しようと思います。SDL.NETはSDLの機能をほとんど内包しているほか、全体がクラスとしてほどよくまとまっており、オブジェクト指向なプログラミングと親和性がよく、スプライトやコレクションといった本家SDLにはない独自の拡張機能も備えています。また、フォントの扱いが簡単で、なおかつMonoフレームワークというマルチプラットフォームな.NET Framework実装上でも動作するという、本家にはない多くの特徴を持っています。もちろん、こちらもLGPLライセンスのもとで配布されているオープンソースなライブラリです。
つまりSDL.NETは、SDLの持つシンプルさはそのままに、さらにプラスアルファされた使いやすい機能が提供されているSDL実装だということができます。
対象読者
本稿では、開発環境としてVisual Studio 2008 Professional Editionを、開発言語としてC#言語を利用します。また、利用するSDL.NETのバージョンは6.1.0とします。対象読者としては、C#言語で何らかのプログラムを作ったことがあって、なおかつ手軽なゲームプログラミングに興味があり、Visual StudioやC#言語についてある程度の知識がある方を想定しています。SDLや他のゲームライブラリでのゲーム作成経験があるとなお理解しやすいと思います。
SDL.NETの導入
早速、SDL.NETを利用するための開発環境を整えましょう。
はじめにSDL.NETの公式サイトにいき、[Download SDL.NET]というリンクから、最新版のSdlDotNetSDKを取得します(執筆時点での最新版は6.1.0です)。飛ばされた先で[Download]のリンクをクリックするとファイルリストが展開されますが、今回必要なのは「sdldotnet-6.1.0-sdk-setup.exe」というファイル(以下SDK)です。これをクリックし、適当な場所にダウンロードします。
ダウンロードが完了したら、ダウンロードしたSDKをダブルクリックして起動し、インストールウィザードを起動させましょう。ライセンス条文としてLGPLが表示され同意を求められるほか、インストール先などを聞いてきますので、ウィザードに従ってインストールを進めてください。
インストールが完了すれば、SDKの導入はおしまいです。導入が完了すると、スタートメニューに項目が追加され、マニュアルを参照したり、サンプルコードを参照したりできるようになります。
SDL.NETを利用して作成したゲームを広く一般に配布する場合、公式サイトから配布されているSDKと同じバージョンのランタイムが、相手の環境にインストールされている必要があります。従って、ランタイムをすべて配布パッケージに同梱して配布してしまうか、READMEなどのファイルにランタイムが必要である旨とランタイムがどこからダウンロードできるかを明記しておく等の対策をとる必要があります。