TECS:TOPPERS Embedded Component System
組込みコンポーネントシステム「TECS」は、TOPPERSプロジェクトのコンポーネント仕様ワーキンググループ(以下WG)において仕様の策定を進めている、組込みシステムに適したコンポーネントシステムのことです。TECSは、TOPPERS Embedded Component Systemのアクロニム(頭文字)です。
コンポーネントシステムといわれても、何のことか想像がつかない方もいらっしゃるでしょう。また、自分が知っている何らかのコンポーネントシステム、あるいはコンポーネントモデルのことを思い浮かべる方も多いでしょう。
TOPPERSプロジェクトとは
コンポーネントシステムが何であるかを説明する前に、TOPPERSプロジェクトについて、簡単に紹介させていただきます。TOPPERSプロジェクトは、2003年9月に名古屋大学(当時は豊橋技科大)の高田教授を中心に、オープンソースのリアルタイムOSを開発するNPO法人として発足しました。
このプロジェクトによって、現世代の決定版として開発されたTOPPERS/JSPは、すでに多くの製品に搭載されており、今も採用する企業が増え続けています。そしていまTOPPERSプロジェクトでは、次世代リアルタイムOSとして、TOPPERS/ASPの開発が進められています。
コンポーネント仕様WGの活動
組込みコンポーネントシステムTECSは、TOPPERSプロジェクトが発足した数ヶ月後の2004年1月から、コンポーネント仕様WGにおいて検討作業が始められました。それからすでに3年半以上が経ちますが、まだ策定作業が続いています。一般的な仕様策定でしたら、ここまで多くの時間をかけることはないでしょう。このように時間がかかっているのは、WGメンバが掛持ちで作業しているということもあるのですが、主な要因として以下の2つを挙げることができます。
- コンポーネントが何であるかが、人によってかなり異なる
- 包括的な問題解決を達成しようとしている
本稿では、この要因を中心に、TECSを開発した動機と目標とするところを説明したいと思います。
お断り
前述したとおり、仕様の策定作業は進行中ですので、以下で説明する内容は変更される可能性があります。また、策定途中の仕様書やツール類はTOPPERSプロジェクト会員に限定して公開されています。2008年には、これらをオープンソースの形で公開できる見込みです。この連載は、TECSの予習資料とお考えいただけると幸いです。