はじめに
既に「Ajax」という言葉が陳腐に感じてしまうほど、JavaScriptはWeb開発者の間に広く浸透しています。今では、クライアント側でのUI構築にJavaScriptは不可欠となっている、といってよいでしょう。クールなサイトを目指してJavaScriptを必死に勉強する人はずいぶんと多いはずです。
が、ある程度まで学習が進むと、多くのJavaScriptプログラマは「壁」にぶつかってしまいます。それは「サーバーサイドプログラム」という壁です。Ajaxによるサーバーへの非同期通信が当たり前のように使われるようになった今、JavaScriptプログラミングといえども「サーバー側に用意されるプログラム」の作成なしには行えなくなりつつあります。
サーバーサイドのプログラム作成はどうすべきなのか。PHPを勉強するのか、Perlあたりがいいのか、はたまたRubyかPythonか。いずれにせよ、何か新しい言語を覚えなければならない――そう悩んでいるJavaScriptプログラマの方へ、ちょっと考えてみましょう。なぜ、JavaScriptでは駄目なんですか?
「サーバーサイドJavaScript」というものを、ご存じでしょうか。今や、JavaScriptを使ってサーバープログラムを作成できる時代なのです。ここでは「Jaxer」というサーバープログラムを用いて、サーバーサイドJavaScriptの利用について解説を行います。
対象読者
- JavaScript以外の言語はあまり分からない、というJavaScriptプログラマ。
- クライアント=サーバー間の処理をより滑らかに融合させることを夢見るWeb技術者。
- サーバ側の開発言語の選定に頭を悩ませている人。
Jaxerを手に入れよう!
Jaxerは、Ajax開発環境で知られる「Aptana Studio」の開発元Aptana Inc.によって開発されている、オープンソースのサーバープログラムです。これは通称「Ajaxサーバー」とも呼ばれています。Jaxerの特徴を端的にとらえた言い方でしょう。Jaxerは現在、jaxer.orgのWebサイトにて公開されています。
ここから、右側に見える「Download Jaxer」という表記部分をクリックすると、ダウンロードページに移動します。ここで、各プラットフォーム向けのJaxerがダウンロードできます。本稿執筆時点で1.0.3.4547というバージョンがstable版として配布されており、これをベースにして解説を行います。
配布されているプログラムは、Apache HTTP Server同梱版と、付属しないものとがあります。「Apache HTTP Server」というのは、もっとも広く使われているオープンソースのWebサーバープログラムです。WebサイトというのはWebサーバーにファイルをアップロードして公開しますが、このサーバー部分として広く活用されています。Jaxerも、Webサーバーの部分にApacheを利用しています。
初めてインストールする場合には、「Download the Jaxer Package with self-contained Apache」と書かれているリンクからダウンロードをしてください。Apacheが内蔵されていないものは、アップデート版です。既に旧バージョンのJaxerを使っている人向けのものと考えましょう。
Jaxerのインストールと構成
Jaxerは、圧縮ファイルの形で配布されています。インストールは非常に簡単です。ただ圧縮ファイルを展開し、保存されたフォルダをハードディスクの適当なところに配置しておくだけです。
保存されたJaxerのフォルダ内には、以下のようなファイル・フォルダ類が用意されています。ざっとその内容を頭に入れておきましょう。
ファイル/フォルダ | 説明 |
Apache22 | Apache HTTP Serverが入っています。先に述べたように、JaxerはWebサーバー部分にApache HTTP Serverを採用しています。 |
jaxer | Jaxerのメインプログラム部分です。 |
local_jaxer | Jaxerがローカルボリュームに用意するファイル類がまとめられています。標準で組み込まれるJaxerのサンプルや設定ファイルなどが保管されています。 |
logs | 実行時のログ情報がここに出力されます。 |
public | これがJaxserの公開ディレクトリです。Jaxerサーバーで公開するファイル類はこの中に用意します。 |
tmp | テンポラリ(一時)ファイルの保管場所です。 |
ConfigureFirewall.exe | Windowsファイアウォールの設定を書き換えるアプリケーションです。Jaxserサーバーのプログラムとポートの利用を許可するように設定を書き換えます。 |
StartServers.bat | Jaxerサーバーを起動するためのバッチファイルです。 |
LICENSE.TXT | ライセンスに関する説明書類です。 |
README.TXT | プログラムに関する簡単な説明書類です。WindowsとMac OS Xでの利用に関する簡単な注意書きがあります。 |
では、実際にJaxerサーバーを起動してみましょう。フォルダにある「StartServers.bat」をダブルクリックして起動してください。画面にコマンドプロンプトのウインドウが現れ、Jaxerサーバーが起動します。終了するには、コマンドプロンプトで何かのキーを押すだけです。
サーバーが起動したら、「http://localhost:8081/」にアクセスをしてください。Jaxerは、標準で8081ポートを使用しています。アクセスすると、自動的にhttp://localhost:8081/aptana/にリダイレクトされ、あらかじめ用意されたJaxerのサイトが表示されます。サイトが問題なく表示されれば、サーバーは正しく動いています。