大企業へのアジャイル開発の浸透と大規模アジャイル開発
スタートアップ企業から広がったアジャイル開発はいまや、効率的、効果的なビジネスを指向する大企業でも実践されるようになっています。そんな中で、スクラムで規定されるような10人程度の小さなチーム単独で製品を開発するのではなく、より大きな規模のチームで、より大きな製品を、高い頻度で段階的かつ定期的にリリースしたいという開発のニーズが出てきました。このニーズを満たすためのものが大規模アジャイル開発で、やはりさまざまな手法や方法論が提唱され、実践されています。例えば、チーム規模を1チームから徐々に増やしていくケースに適した「LeSS(Large-Scale Scrum)」や、最初から大きな製品を複数のチームで開発するケースに適した「SAFe(Scaled Agile Framework)」などです。
これらの大規模アジャイル開発の手法には、チームの体制面やプロセス面で下図のような共通した特徴があります。
実際の開発作業を行うチームは、通常のアジャイル開発と同じように、アジリティ(敏捷性、機敏などの意味)を維持するため10人程度の少人数で構成されます。
開発の際には、企画チームが要件を一つの開発チームでさばける粒度に分割し、それらを各開発チームが並行して開発に当たります。一定の期間が経過すると、各開発チームによって仕上げられた成果が集められ、統合チームがそれらを統合してテストを実施します。当然のことながら、アジャイル開発は1回実施すれば終わりではなく、一定期間に開発を繰り返すスタイルのため、統合チームも開発チームと同じ間隔で、この統合・テスト活動を繰り返し行うことになります。