ガイドライン上での各種メッセージ定義と注意点
メッセージには「エラー」「警告」「確認」「通知」の4種類がある。
まず、エラーメッセージには「[OK]ボタンの表示は不可」とあり、これはエラーに対して[OK]という表現のボタンは不適切という意味だ。[Close]や[閉じる]といった表現をするように規定されている。正しいエラーメッセージの例もガイドラインには掲載されているが、同じの内容の物はVisual Studioで作成できないという落とし穴がある。
警告メッセージについては、使用する状況として「重要な財務データなどの貴重な資産が失われる恐れがある」「システムへのアクセスまたは整合性が失われる恐れがある」「プライバシーまたは機密情報の制御が失われる恐れがある」「30秒以上処理がかかる恐れがある」の4つが挙げられている。
確認メッセージについては、「[OK]と[キャンセル]」というボタンの組み合わせは不可で、[はい][いいえ]とするように記述されている。また、リスクの高い内容の場合については[いいえ]、それ以外は[はい]をデフォルトで選択状態にしておかなければならない。さらにアイコンは、削除したら元に戻せないような内容やセキュリティ上の確認以外は、過剰な表現を避けるために表示しないという規定がある。
画面右下のタスクバーに表示される通知メッセージは、NotifyIcon1.ShowBalloonTip(9000)
で定義され、NotifyIcon.Iconにアイコン設定することが必須となる。
ガイドライン上での各種メッセージ定義と注意点
レイアウト設計時の注意点としては、視線の動きに合わせたレイアウトを推奨しており、具体的には画面の左上から下、もしくは右下へと、視線の動きに合わせて、選択項目や確認ボタンを配置することを規定している。
ガイドラインの推奨値とVisual Studio標準値のずれをなくすには?
初音氏は、ここまで話した中に度々出てきた「ガイドラインの推奨値とVisual Studioの標準値のずれ」を解消するための有効なツールとして、「Windows API Code Pack for .NET」があると紹介した。このツールは.NET Framework 3.5 SP1環境下であれば誰でも利用可能で、下記のマイクロソフトWebページからダウンロードができる。
- Windows API Code Pack for .NET[http://code.msdn.microsoft.com/WindowsAPICodePack]]
このWindows API Code Pack for .NETを使用することで解消できる問題の一例としては、タスクバーの右クリックから最近使ったファイルを開ける「ジャンプリスト」の作成や、Windows 7で色の変更が可能となったプログレスバーの作成、エラーメッセージのオプションへの[Close]ボタン設置などがあり、Windows 7特有の問題を解決可能となる。
最後に初音氏は、下記の8項目のデザイン原則を紹介し、これらを踏まえて開発を行って欲しいと締めくくった。
- コンセプトを減らして、信頼を高める
- どんなに小さいことでも重要である
- 外観と内容を重視する
- 探し回ることのないように、見つけやすくする
- 開始前のUXと質問(質問量は少なく)
- カスタマイズではなく個人設定にする
- エクスペリエンスのライフサイクル
- モバイルユーザー向けに作成する