独自のメモリ管理でもプログラム側の変更は必要なし
SODEC会場の日立製作所ブースでは、チケット予約のWebアプリケーションによるデモが行われた。Full GCが起こりやすい環境と、Full GCレス環境を同一の画面で比較したものだ。Full GCが発生しているときに注文ボタンを押すと、応答が遅く待たされる。Full GCレス環境の場合は、どのタイミングでもすぐに応答した。デモでは、両者のJavaヒープ中のOld領域もグラフ表示され、Full GCレス環境ではOld領域がいっぱいになることはなかった。
レスポンス低下の要因を減らすFull GCレスだが、独自のメモリ管理のため、アプリケーションに変更を加えなければならないという開発者の懸念もある。しかし岩井氏は「Full GCレスは、Java VMとアプリケーションサーバが連携して実現するので、プログラム側の変更の必要はありません」と導入のしやすさへの配慮も語った。
こうした機能の追加や配慮は、日立製作所が自製のJava VMを備えているため可能となる。日本語文字列処理などといった国内ならではの課題に対するクライアントのニーズをとらえ、独自のチューニングを積み重ねてきた結果だ。最新のV8.5からのFull GC機能では、フレームワークの定義情報なども対象にしたいというニーズに応え、セッションオブジェクト以外に、ユーザーが任意に指定した情報を移動できるようにし、適用範囲を拡大している。
また、CosminexusのWebアプリケーションサーバには、Full GCレスなどの安定稼動のための機能のほか、エラー箇所を絞り込むためのトレース機能、メモリリークの原因の特定を行うためのクラス別情報出力機能など、障害の早期解決に向けた機能も搭載している。
秒単位の処理が必要な業務に最適
システムの安定稼働を実現するための機能を備えていることから、CosminexusのWebアプリケーションサーバは、チケット予約、ネット証券、ネットバンキングなど、秒単位での処理が求められるミッションクリティカルな業務を支える基盤に適用されている。岩井氏は最後に「Full GCレス機能は、ショッピングサイトを構築・運用しているクライアント様に好印象です。このような機能をはじめとして、Cosminexusが提供するさまざまな製品を組み合わせることで、システムの安定稼働を支える基盤を実現できるところに高い評価を頂いています」とアピールした。
Cosminexusの詳細や、評価版のダウンロードについては同社のサイトを参照のこと。
参考資料
企業の情報システム構築を支援するオンラインメディア「EnterpriseZine(エンタープライズジン)」では、Cosminexusの最新版V8.5で強化された仮想化技術の特長を取り上げています。こちらもぜひ併せてご参照ください。