開発者たちの目当ては、マルチデバイス、電子出版、HTML5
団結式に集まった参加者たちに話を伺ったところ、今年の注目キーワードとして、次の3つが見えてきた。
- HTML5
- 電子出版
- マルチデバイス
まずはじめに声が集まったのが、1つめの“HTML5”だ。今年に入ってから、AdobeのHTML5に対する取り組みはさらに加速している。5月に米国で行われたGoogleのユーザーカンファレンス「Google I/O」で、Adobe CTOのケビン・リンチ氏が「HTML5制作において最高のツールを提供する」と発表したのを皮切りに、同社のHTML/CSS開発ツール「Adobe Dreamweaber CS5」向けHTML5/CSS3拡張機能の提供が開始。同8月には、Dreamweaver CS5のアップデータとしてHTML5 Packを提供。さらに、9月にはグラフィックツール「Illustrator CS5」向けのSVG書き出しHTML5 Packの提供が開始された。Adobe MAXでの、さらなる発表に期待を寄せているデザイナーやHTMLコーダーは多い。
2つ目は、近年iPhone、iPad、Android端末などのスマートフォンの普及で急激に注目が集まる“電子出版”が挙がった。Adobeは、出版業界に広く普及しているDTPソフトウェア「Adobe InDesign」を提供している。前述のHTML5と併せ、このデファクトスタンダードとも言える製品が、どのような電子出版対応を行うのかも見どころの一つと言えるだろう。
そして、なんと言っても外せないのが“マルチデバイス”対応だろう。今年前半からオープンベータとして開発者向けにリリースされ、先日ついに一般公開された「Android向けAIR」。モバイルアプリケーション開発に向けた機能強化が行われているという「次期Flexフレームワーク(コードネーム“Hero”)」と、開発環境である「Flash Builderの次期バージョン(コードネーム“Burrito”)」。AppleのiPhoneデベロッパー規約変更を受け、開発が再開されたiPhoneアプリケーション向けのオーサリングツール。さらにモバイルだけでなく、Google I/Oで発表されたGoogle TV上に搭載されるというFlashやAndroid対応タブレット型PCでの展開など、話題に事欠かない。特に開発者からのAdobe技術のAndroid対応への関心は高く、これらの事前情報の中からどれが公開されるのかの予想など、期待に胸を弾ませる声が多く聞こえた。
参加者たちに聞くAdobe MAXの注目ポイント~その1
話を聞いた参加者の中から数名をピックアップして、彼らのAdobe MAXに対する期待や注目しているポイントを紹介していこう。
日本Androidの会 会長 丸山不二夫 氏
普段のお仕事は?
早稲田大学大学院の客員教授です。大学はもう一線を退いていて、「日本Androidの会」や「クラウド研究会」といったコミュニティで若い人たちと遊んでいます。
何のためにMAXに行くんですか?
今回初めて米国のAdobe MAXに行くのですが、やはり注目しているのはFlash Player、AIRのAndroid対応です。
基本的に、Androidはコンテンツをたくさん集めたいというフェーズにあります。国内でもAndroid搭載機種が各社出そろい、今後も多くリリースされる予定ですが、まだまだアプリケーションがiPhoneより少ないのが現状です。
ガラケーでJavaをやっていた開発者はたくさんいるため、Androidにトランスフォームする土壌は徐々に整ってきているので、Flashでゲームなどを作っている方々がAndroidに来てくれればさらにコンテンツは豊かになるはず。そういう意味でもインパクトが大きいと考えています。
株式会社サイバーエージェント 森山篤 氏
普段のお仕事は?
アメーバピグのFlashオーサリングを担当しています。
何のためにMAXに行くんですか?
今回は、今日来ているデザイナーと、デベロッパ兼Javaのエンジニアと、コーディングとかメインにやっている同僚の計4名で参加します。MAX参加の目的は、当社ではAdobe製品をたくさん使っているので、新しい情報をいち早く取得してくるためです。上司からの命令でもあります。情報は社内で共有して、いち早くピグで使えるようにしたいですね。特にスマートフォン系のセッションに注目しています。とりあえず吸収できるものはすべて吸収してきたいと思っています。