本稿は、Scott Guthrie氏のブログを、氏の許可を得て、翻訳、転載したものです。米Microsoft社の副社長で、ASP.NETやSilverlightの開発チームを統率する氏のブログでは、次期製品を含む最新の技術をいち早く紹介しています。
ASP.NET MVC 3 (リリース候補版 2)のお知らせ
本日、ASP.NETチームがASP.NET MVC 3の最終リリース候補版(RC2)を出荷しました。ここからダウンロードして、インストールできます。
あと少しで完成に....
本日のRC2リリース版は、ASP.NET MVC 3の最終リリース版に近いものになっており、まさに『リリース候補版』で、なるべくコード変更はしたくないと思っています。今日、これを公開したのは、皆さんに最終テストをして頂いたり、最後の『致命的な問題』があればご連絡頂いたり、既存のアプリケーションを更新して頂いたり、ということが可能になると思ったからです。1月にASP.NET MVC 3 『RTM』ビルド版を公式に出荷する予定です。
VS 2010およびVS 2010 SP1ベータ版で動作
本日のASP.NET MVC 3 RC2リリース版は、出荷済みのVisual Studio 2010/Visual Web Developer 2010 Expressや、新しくリリースされたVS 2010 SP1 ベータ版で動作します。
つまり、ASP.NET MVC 3を使用するために、VS 2010 SP1 (またはSP1ベータ版)をインストールする必要はありません。出荷済みのVisual Studio 2010で十分動作します。といいながら、来週、ASP.NET WebフォームやASP.NET MVCの開発環境をさらに改善する、VS 2010 SP1 (VSでのIIS ExpressやSQL CEサポートを含む)の新機能をいくつかブログ投稿しようとも思ってますが。
バグとパフォーマンスの修正
本日のASP.NET MVC 3 RC2ビルド版には、多くのバグ修正とパフォーマンスの最適化が行われています。最新のパフォーマンステストでは、ASP.NET MVC 3がASP.NET MVC 2よりも早くなっていることや、既存のASP.NET MVCアプリケーションをASP.NET MVC 3で実行するように更新するとパフォーマンスが少し良くなることなどが示されています。
最終の微調整と仕上がり
バグ修正とパフォーマンスの最適化以外に、本日のRC2ビルド版では、ASP.NET MVC 3の新機能へ、数多くの最終機能微調整および『仕上げ』が行われています。公開プレビューで受け取った大変貴重なフィードバックや提案により、これらの最終調整を行うことができたため、私たちはこれらのフィードバックを行っていただいた方々に、非常に感謝しております。
以下は、先月のASP.NET MVC 3 RCと本日のASP.NET MVC 3 RC2間における、機能変更/微調整の一覧になります。
- jQueryの更新とjQuery UIの追加
デフォルトのASP.NET MVC 3プロジェクトテンプレートが更新され、jQuery 1.4.4およびjQuery Validation 1.7が含まれるようになりました。
さらにお伝えしたいのが、デフォルトのASP.NETプロジェクトテンプレートには、今後jQuery UIが含まれるようになったことです。jQuery UIは、さらに強力なUIのウィジェットおよび機能一式を提供します。これは、ASP.NET MVC 3プロジェクトを作成した時に、デフォルトで\scriptsフォルダに追加されます。
- 改善されたビューのスキャフォールディング
[追加]-[ビュー]ダイアログで、スキャフォールディングビューに使用されているT4テンプレートは、Html.TextBoxForなどの代わりにHtml.EditorForを使用してビューを生成します。この変更により、実行時にUI出力をカスタマイズしやすくするためのメタデータ(DataAnnotationsや属性を使用して)で、モデルに注釈を付けることもオプションとして可能になります。
追加ビューのスキャフォールディングは、改善されたモデル上の主キー情報の検知や使用(ID、ProductIDなどの命名規則のサポートを含む)もサポートしています。例えば、追加ビューのダイアログボックスは、この情報を使用することで、主キーの値を編集不可のフィールドでスキャフォールドされるようにしたり、ビュー間のリンクが主キー情報で正確に自動生成されるようにしたりします。
デフォルトの編集および新規作成テンプレートにも、クライアント検証に必要なjQueryスクリプトへの参照が含まれるようになりました。スキャフォールドのフォームビューは、デフォルトでクライアントサイドの検証もサポートするようになりました(そのために手順は不要)。ASP.NET MVCとのクライアントサイドの検証も、Unobtrusive(目立たない)JavaScriptの方法を使用して行われるので、ページは高速でクリーンになります。
- [ControllerSessionState]から[SessionState]
ASP.NET MVC 3は、セッションレスのコントローラのサポートを追加しました。初回のRCでは、これを指定するのに、[ControllerSessionState]属性を使用していました。これをRC2では[SessionState]だけになりました。
セッション状態をオフにする以外に、読み込み専用に設定することも可能です(ある特定のリクエストでセッションを読み込み、更新はしないようなWebfarmシナリオで便利です)。