2010年初頭のOracleによるSun Microsystems買収は、IT業界に大きな驚きで受け止められるとともに、開発者やユーザーに1つの重大な懸念を抱かせた。「この先、Javaはどうなるのか?」。長年にわたってJavaエバンジェリストとして活動してきた日本オラクル株式会社の寺田佳央氏は、そうした心配はまったくの杞憂であり、Oracleは今後もJavaとJavaの開発者を大切に考えていくと改めて力強くアピールした(寺田氏のブログ)。
Oracleが改めてJavaを世界規模で推進していくことを力強く表明
開口一番、寺田氏は、Oracle は今後も積極的にJavaに投資していくと表明。「すでにOracle本社からのメッセージとして発信されており、米国のエバンジェリストチームと一緒に、もう一度OracleとしてJavaを世界規模で推進していく取り組みがすでに始まっている。またCEOのラリー・エリソンは、『Javaは私たちが今までに取得した中で、もっとも重要なソフトウェア資産だ』と言明している」と語り、改めてOracleがJavaの将来について全社的に取り組んでいく姿勢を明らかにした。
また寺田氏はその言葉の裏付けとして、「皆さんはOracleと統合されてJavaはどうなるのかと思うかも知れないが、11億のデスクトップにインストールされ、毎年9.3億のJava Runtime Environment (JRE)がダウンロードされ、30億の携帯電話でJavaが稼働している。エンタープライズから携帯電話まで、1つの言語仕様をおぼえれば、どんな分野でもAPIを変えれば使えるのはJavaだけだ。あらゆる分野にJavaは使われており、こんな汎用性の高い言語をなくしてはならないし、Oracleとしてもなくすわけにはいかない」と語る。
日本国内でもすでにインターネットセミナーなどの支援策が続々登場
今後のJavaの進むべき方向について寺田氏は、「Javaはすでに10年以上多くの開発者に支持され、プラットフォームのような存在になっている。これをさらに進化させるべく、Oracleも積極的な支援施策を行いつつある」と語る。
すでに日本オラクルでは、Oracle Technology Network(OTN)による情報提供を開始した。今後も、OTN経由で日本語コンテンツによる情報提供を進めていく予定だ。
「インターネットライブセミナーである『Oracle Direct Seminar』のオンデマンド配信も行っている。入門編から実践編まで幅広い内容を提供しており、チャットを使用した質問なども可能だ。またこのセミナーを通じたアンケートを実施して、国内のJava開発者からOracleへの要望や質問などを積極的に募っている」。
終盤、寺田氏はOracleに対して開発者が抱いている疑問や懸念に答えた。
「Javaでは、以前からOpenJDKのように誰でも参加可能なコミュニティが運営されており、これはOracleになっても変わらない。事実、2011年の年明けには、ブラジル最大のユーザーグループであるSouJavaをJCP(Java Community Process)のExecutive Committeeにノミネートした」。
またJavaに対するOracleのスタンスについては、「OracleはJavaに関する執事の立場をとる。たとえばJava言語仕様の変更は、Eclipse Foundation、IBM、Intel、Red Hat、 SAP等様々な団体が所属するJCPを通じて実施される。たしかにOracle はJavaに関する特許は保有しているが、JCPやOpenJDKなどと常に連携し、一企業でJavaのすべてを所有することはしない」と説明した。
最後にJava SE 7の概要が2011年7月28日リリース予定であることを伝え、さらにJava SEのロードマップおよびHotSpot VMとJRockit VMについても開発の継続を言明。Java EE 7を始めとした今後の動きを詳細に語った寺田氏は、「OracleはJavaに関してSunの頃とやりかたを何ら変えていない。皆さんに疑問や要望があれば、ぜひ私たちに聞かせて欲しい」と訴えた。
日本オラクル株式会社
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Oracle Technology Network (OTN) Java開発者向けページ