アドビは18日、月額制のサブスクリプションサービス「Adobe Creative Cloud」とFlashの今後の方向性について、記者発表を行った。
同社 マーケティング本部 西山正一氏は、「アドビは今、魅力的なコンテンツの作成(Make)、作成したコンテンツの管理(Manage)、多様なモバイルデバイスでの提供(Mobilize)、マネタイズ(Monetize)」の4つのMを実現する会社を目指し、大きく変化しているところだと説明した。スマートデバイスの登場による市場の変化が加速度を増しているため、これまでのアドビの一定のサイクルで製品を開発し、バージョンアップをリリースするというスタイルは、そぐわないかもしれないと判断したためだ。
そこで、市場が求める最新テクノロジをいち早くユーザーに提供するため、サブスクリプションを手ごろな価格で提供しようと新たに用意されたのが、10月のAdobe MAX 2011でも発表された「Adobe Creative Cloud(以下、Creative Cloud)」というサービスだ。
Creative Cloudを利用すると、これまでMaster Collectionとして提供されてきたCreative Suite製品の最新版全てを、月額料金で利用できる。1年契約の場合、個人の場合は1ユーザーあたり5,000円、ワークグループの場合は1ユーザーあたり7,500円。年間契約だけでなく、月契約のプランも提供を予定しているため、数か月単位などのプロジェクトの期間に使用したい場合などにも柔軟に対応できる。
記者発表では、Creative Cloudで提供される「Adobe Touch Apps」の中から、「Adobe Ideas」「Adobe Debut」「Adobe Proto」「Adobe Collage」「Adobe Kuler」「Adobe Photoshop Touch」の6つのアプリが、デモを交えて紹介された。15日より、Android Market上でも提供が開始されている。
また、先日発表された、モバイルブラウザ向けFlash Playerの開発を中止した件についても、説明が行われた。
同社 Mike Chambers氏のブログでは、「モバイルブラウザを対象としたFlash Playerの積極的な開発は行わない」という発表について説明が不足していたことを詫びつつ、Flash Playerがデスクトップと同等の普遍性をモバイルで得る可能性はないと言及。モバイルブラウザでのHTML5の普遍性が実現されていることを挙げ、今後は以下のように戦略を変更すると発表された。
- Flash Platformは、Adobe AIRで作成したモバイルアプリケーションおよびFlash Playerによるデスクトップブラウザ内でのコンテンツ(特にゲームとビデオ)に注力
- HTML5のツール、ソリューション、ブラウザに対する(資金と人員の両方)リソースを拡大
西山氏は、「今後もFlashがHTMLを補完する技術であることは変わらない。しかし事実として、Flashでないとできなかった表現が、HTML5やCSS3といった新しいテクノロジに置き換わっていくことは間違いない。Flashでキャリアを積んできた方が、FlashだけではなくHTML5やCSS3といった世界で、そのノウハウを存分に発揮できるよう、我々もリソースを投入していきたい。」と語り、記者発表を終えた。
【関連リンク】
・Adobe Creative Cloud
・Adobe Touch Appsファミリー
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