今回、特に目を引いたことは次の4点だ。
- Dynamic Boxと呼ぶスマートデバイス向けUIをアピールした。
- スマートフォンや車載機器以外にも、家電やウェアラブルなどマルチデバイス対応のプロファイルを増やす方向性を示した。
- 複数のスマートデバイス向けクロスプラットフォーム開発ツールがTizenをサポートする方向であることを示した。
- 「Tizen認証アプリ」(Tizen Compliance)のためのツールを発表した。
以下、それぞれ説明していく。
UI機能「Dynamic Box」を強調
今回のセッションでは、TizenのUI(ユーザー・インタフェース)機能である「Dynamic Box」および「Drop View」を強調して説明した。Dynamic Boxは情報を常時表示する箱形のUI要素で、そこから下スワイプ操作でより詳細な情報を表示するDrop Viewが表示される。このUIをTizen搭載のスマートフォンやウェアラブル端末などで利用していくと説明した。
Tizen Association ChairmanのNTT ドコモの杉村領一氏(プロダクト部技術企画 担当部長)は、Dynamic BoxとDrop Viewについて「より自然なUIを実現できる」「情報を階層化する仕組みで、イノベーションのキーとなる」「ウェアラブル端末への展開も容易」と説明する。例えば「巨人対阪神の試合」の最新スコアがDynamic Boxに表示されていてすぐ視認でき、下スワイプ動作で「各回スコア」などより詳細情報が表示される、といった利用イメージを示した。
また、サムスン電子のジョンドク チョイ氏(ソフトウェア R&D センター エクゼクティブ バイスプレジデント)は、Dynamic Boxについて「他のアプリに組み込める小さなアプリ」「ホームスクリーンに表示」「電子メールの未読メール表示などにも活用できる」と説明した。
Tizen Associationでは、スマートフォンやウェアラブル端末のようにモダンなUIが求められる分野では、Dynamic BoxやDrop Viewを標準的なUI用途として推進していく方向だ。
より多様なデバイスのプロファイルを整備
今回のセッションではTizenのマルチデバイス対応も強調した。現状のTizenはスマートフォン向けの「モバイル」と車載機器向け「IVI」の2つのプロファイルがあるが、これ以外の分野のプロファイルを増やしていく。例えば、「TV」「クラムシェル」「カメラ」「プリンタ」などである。サムスン電子では「テレビにTizenを搭載する予定がある」(ジョンドク チョイ氏)。また、NTTドコモの杉村氏によれば、最近腕時計型端末やメガネ型端末の登場で盛り上がりを見せるウェアラブル端末もTizenのターゲットに入ってくる模様だ。
モバイル向けTizenは、1種類だけではなく「Tizen Mobile Full」と「Tizen Mobile Lite」の2通りのプロファイルを用意する。後者は、メモリー容量が最小で256Mバイトのロースペックな端末を対象とするものだ。これらの説明を聞く限りでは、今後のTizenは多種多様な端末を共通の設計思想と開発環境でサポートするモバイルOSとしての性格を強めていくことになりそうだ。