手軽にできる全天球撮影(Photosynth)
さくらインターネット研究所では次世代空間情報として、さまざまな表現方法について調査研究を行っています。前回の『災害コミュニケーション ITだからできるコト(9)』に引き続き、今回も全天周・全天球撮影アプリケーションについて見ていきましょう。
Microsoft Photosynthは、Microsoft Windows PhoneとApple iOS上で動作する全天球撮影カメラのアプリケーションです。前回ご紹介したOccipital 360 Panoramaと同じく、AR技術を使い複数枚の写真を貼り合わせることで全天球写真を合成しています。iPhoneやiPod/iPadのAppStoreからPhotosynthを検索し、インストールを行ってお使いください。
それでは具体的な使い方について見ていきましょう(図1)。まずはPhotosynthを起動して撮影モードに入ります。「tap to start」ボタンを押して、上下左右どちらかへ少しずつ動かしていきます。すると、自動的にシャッターが切られ撮影された写真が繋がっていきます。
これを全天球すべてで繰り返し、良いと思ったところで「finish」ボタンを押します。これで撮影は完了です。
撮影が終わると、つぎに全天球写真の合成補正モードに入ります(図2)。「stiching panorama」と表示され終了すると合成および補正が完了します。つづけて、「Share」ボタンを押すとWebサービスや電子メール、カメラロールを使った共有方法が選択できます。今回も「camera roll」を選び「save」を押して全天球写真をカメラロールへ保存しましょう。
前回同様に図3は全天球撮影をイメージしやすくするために、合成された写真と撮影モード画面を貼り合わせてみました。このように専用アプリケーションを使えば、簡単に複数枚の写真を繋ぎ合わせた全天球写真が完成します。
photosynth、facebook、twitterのアカウントを事前設定しておくことで、Webサービスを通じた全天球写真の共有もできますので、必要に応じて利用してみてください。
新たな空間情報の表現方法(Tiny Planets Photos)
Tiny Planet Photosは、Apple iOS上で動作する全天周・全天球写真を変換するアプリケーションです。内容は前回『災害コミュニケーション ITだからできるコト(9)』とまったく同じですが、せっかくなので再掲載致します。
まずTiny Planet Photosを起動し、先ほど撮影した全天球写真をカメラロールから選択します。つぎに「TINY PLANET」ボタンを押すと画像変換が始まります。すると『災害コミュニケーション ITだからできるコト(7)』でご紹介したスモールプラネット化した画像が出来上がります(図5)。
いかがですか? 先ほどの全天球写真とは異なった空間情報の表現方法になったかと思います。全天球写真に比べて、空間情報がやや欠損している点は否めませんが、共有したい空間情報をメインに据える表現方法としては有効です。
さらに続けて、ラビットホール化についても見ていきましょう(図5)。さきほどの処理に続いて、「RABBIT HOLE」ボタンを押すと変換が開始されます。さきほどのスモールプラネットとは、まったく異なる空間情報の表現方法になりました。このように、共有したい空間情報の内容によって、いずれかの変換処理を施すことが有効です。最後に変換した1枚の画像は、カメラロールやメールを通じて保存・共有ができますので、必要に応じてお使いください。
さて次回は、手軽にできる全天球撮影およびパノラマ技術による空間情報の表現方法について、全天球撮影カメラ利用例について解説していきます。ぜひ、いままで見たことのない写真が手軽に撮れる体験をしていただければと思います。