はじめに
前回は、LinuxマイコンボードであるRaspberry PiにDebian系のOSである「Rasbian」をインストール/セットアップを行いました。今回は、電子工作の基礎の説明と、Raspberry Piを使ってプログラミングでLEDの制御を行う手順を紹介します。
対象読者
本記事は、次の方を対象にしています。
- 電子工作の初心者
- 基本的なLinuxコマンドを理解されている方
- お小遣いが6000~7000円ほどある方
電子工作の基礎
Raspberry Piで電子工作を行うために必要となる、電流/電圧の基礎知識やGPIOの基礎を説明します。
オームの法則
電子工作をする上で、まず知っておきたいのは電流と電圧の関係です。電流とは、電気の流れる量のことです。電子機器は、回路に電気が流れることで、LEDを点灯させたり、モーターを動かしたりします。電流はプラス極からマイナス極に向かって流れます。電流の単位は、A(アンペア)で、電子部品には、電流の最大定格が定められています。この最大定格を超えた電流を流すと、故障してしまいます。
電圧とは、回路に電気を流そうとする力のことです。電気は、電圧の高いところから、電圧の低いところに向かって流れます。この高低差が大きいほど、電気を流す力が強くなります。電圧の単位は、V(ボルト)です。電子回路では、電圧の低い部分をグランド(GND)と呼びます。
LEDなどの半導体に電気を流すとき、電圧が高すぎると、多くの電流が流れて最大規格を超えてしまいます。そのため、電子回路に「抵抗」を入れます。この抵抗は、電流を流れにくくするもので、いわば電気が流れるのを邪魔するものです。抵抗の単位はΩ(オーム)です。
この、電流と電圧と抵抗には次の関係があります。これを、オームの法則と呼びます。
電流 = 電圧 / 抵抗
ここで、LEDに電気を流す例で計算してみます。まず、使いたいLEDの特性を調べます。製品のデータシートは、電子工作の部品を扱うショップのホームページ等にあります。
データシートをもとに、LEDの順電圧を調べます。[DC Forward Voltage]が順電圧で、最小1.8V~標準2.0V~最大2.5Vとなっているので、標準の2.0Vで計算します。Raspberry Piの電源電圧は3.3Vですので、抵抗には(3.3V-2.0V)の電圧がかかります。
このLEDに、電流1mAを流すためには、どの抵抗を使えば良いかを、上記のオームの法則に当てはめて計算します。
1mA = (3.3V-2.0V) / 抵抗値
この式を解くと、抵抗値は1300Ωが必要ということになります。
GPIOの基礎
Raspberry Piに電子部品を取り付けるときはGPIO(General Purpose Input/Output)を使います。GPIOとは、プログラムの指示によって任意の入出力に利用することができる入出力端子のことです。Raspberry Pi 2 ModelBでは、40本のピンが配置されています。形状はどれも同じですが、それぞれ別の役割があります。
まず、Raspberry Piを下図のように、LAN/USBのコネクタを手間、電源を奥においたとき、GPIOのピンは左上1番ピン~右下40番というように、1本ごとにピン番号がついています。
各ピンには、ピン番号とピン名がついています。ピン名は、ピンの役割がわかるような名前になっています。
電源供給
ピン番号(1/2/4/17)は、電源を供給するためのピンです。回路に対して3.3Vの電圧のものと、5.0Vの電圧のものがあります。
GND(グランド)
ピン番号(6/9/14/20/25/30/34/39)は、電源のマイナス極です。GNDは「グランド」と読み、電気回路での基準電位(0V)をさします。
データ入出力
プログラムで信号の入力または出力を制御できるピンです。Raspberry PiのGPIOピンはデジタル信号(0または1)を制御できます。ここに、センサーやLED/モーターやスイッチなどの電子部品をつないで制御します。データ入出力のピンは複数ありますので、自由に使って電子回路を作成できます。
このほかにも、拡張基盤で使用するための、ID_SCとID_SDピンがあります。
ここで、電子工作にあたり注意しておく点がいくつかあります。まず、GPIOピンは形状が同じですが、配線を間違えてしまうと、正しく動作しません。また、電源のプラスとマイナスが直接つながった状態になると、電流が無限に流れます。この状態を「ショート」と呼びます。ショートを起こしてしまうと、最悪Raspberry Piを破壊してしまうおそれもありますので、回路図をきちんと書いて、ピンの番号と回路の状態を確認しながら慎重に作業をしてください。