Node.jsコミュニティの会長、JavaScriptは20代後半から学んだ
――古川さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
大学院を卒業し、24歳で富士ゼロックスに入社しました。富士ゼロックスで5年間働き、29歳でDeNAに転職。そして昨年5月にリクルートテクノロジーズに入社しました。
――富士ゼロックスではどんな仕事に従事されていたのですか。
文書管理システムを開発していました。使っていた技術はJavaとデータベース周りの技術です。実は大学・大学院では画像認識や画像検索の研究を行っていました。文書管理システムでも検索技術なども必要だったので、スペシャリティとしてはマッチしていましたね。
――古川さんは現在、Node.js 日本ユーザーグループの代表として活躍されていますが、富士ゼロックスでのお仕事と、Node.jsやJavaScriptは関係がなさそうに見えます。仕事では使わないJavaScriptをなぜ、学ぼうと思ったのでしょうか。
2006年頃、まだ大学院にいたときですが、Web 2.0という言葉が話題となり、技術ではAjaxが流行っており、今後、Webアプリケーションが増えてくると実感しました。そういった背景もあり、富士ゼロックス時代は、業務ではサーバサイドの開発をやりながらも、自分自身でWebアプリケーションを作れるようになりたいと思い、学び始めたのがJavaScriptでした。
――Node.jsに出会ったきっかけについて教えてください。
元々はサーバサイドのエンジニアだったので、いきなりフロントエンドの技術をやろうと思っても作法がわからないんです。そんなときに文法に慣れているサーバーサイドのJavaScriptの技術、Node.jsを知り、まずはそれを学び、自分のモノにしたいと思いました。
2010年10月に日本でNode.jsの作者であるライアン・ダール氏の講演があり、僕も参加したんですが、そのときにやっぱり「Webアプリケーションを作るには、JavaScriptは不可欠だ」と実感しましたね。
仕事には直結しないテクノロジーを勉強するために必要なこと
――仕事には直結しないテクノロジーを勉強するには、かなりのモチベーションが必要だと思うのですが。
できるようになりたいからやるというという気持ちからでしたね。仕事に直結しないから学ばないというと、自分のキャリアの幅を狭めてしまいますから。技術者としてはキャリアを積んでいくのであれば、仕事と関係しなくても気になった技術は学んでいくことです。
学び続けられた秘訣を一つあげるとすると、コミュニティに属したことでしょうか。Node.jsユーザーグループに入ると、自分より若くてガンガンできる人がいるんです。僕が入った時は、メンバーに同い年や年下が多く、中には高校生がコミッターをやっていました。そんな年下の彼らができているのに、僕はできないという危機感がありました。なんとか挽回したいという思いが、学び続ける要因となったと思います。そういう学びたいと言う気持ちを促進させる力がコミュニティにはあると思います。
――コミュニティ活動はいつからされているのでしょうか。
最初はNode.jsの参加者から始まり、スタッフになったのは2013年です。そして1年後の2014年に代表になりました。
――1年で代表というのは、すごいことだと思います。古川さんが短期間でコミュニティのトップになれたのは、どういった要因があると思いますか。
実はよく分からないんですよ(笑)。確実に僕でということがあったわけではないと思います。前任者の意向としては、「新しい風を吹かせたい」ということでした。Node.jsは若い技術ですが、コミュニティ活動が複数年にわたると、話している内容がどうしても固定化してくるのです。そこでそういった既成概念にとらわれない人に代表になってもらいたいと思っていたそうです。当時、僕はスタッフとして、ブログを書いたり新しいことを調べたりなどアクティブに活動していました。きっと僕なら、新しい風を吹かしてくれると思ったのでしょう。推薦され、立候補することにしました。