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【デブサミ2017】セッションレポート(AD)

さまざまな分野でのAI活用を加速させる、マイクロソフトの多彩な開発機能とサービス【デブサミ2017】

【16-B-4】MicrosoftのAI開発機能/サービス

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 注目を集める「人工知能」と「機械学習」。各方面で実用化が進む中、マイクロソフトは実用化を支援・推進する多数のサービスや製品を提供している。果たしてマイクロソフトは何を目指し、どのような世界を実現しようとしているのか。同社エバンジェリストの佐藤直生氏が、機械学習ベースのインテリジェントAPI「Microsoft Cognitive Services」や深層学習のための開発フレームワーク「Microsoft Cognitive Toolkit」といった代表的な製品についても触れながら、マイクロソフトにおける、AIサービスのフレームワークの考え方や目的について語った。

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日本マイクロソフト株式会社 デベロッパー エバンジェリズム統括本部 エバンジェリスト 佐藤直生氏
日本マイクロソフト株式会社 デベロッパー エバンジェリズム統括本部 エバンジェリスト 佐藤直生氏

第3次AIブームの目的は「未知の発見」

 自ら学習、理解し、思考する「知能」という能力。それをコンピュータ上で実現する試みは、長期にわたって研究されてきた。その「人工知能(AI:Artificial Intelligence)」を支えるのが、「機械学習(ML:Machine Learning)」だ。中でも、非リニアでニューラルなネットワークを利用し、人間などの教師がいなくとも知能を獲得するものとして近年特に関心が高まっているのが「深層学習(DL:Deep Learning)」だ。

 このDLへの関心の高まりについて、佐藤氏は「予知・予測」への期待を挙げる。

 「そもそも人工知能はデータを投入すれば自動的に『適切な答え』を出せるというものではない。データを投入して傾向を導き出し、法則性を得たところに新たなデータを投入して初めて『推測される答え』が得られる。それは従来と変わらずとも、近年の処理能力の向上や扱うデータの膨大化によって、人間の思考が及ばないような傾向やアルゴリズムに気づく可能性があり、そこに大きな期待が集まっている」

 こうしたAIブームはこれまでも何度か起きている。1960年前後の第1次ブームでは「考えるのが早い人工知能」、1980年代の第2次では「物知りな人工知能」が目標となり、2013年頃から今につながる第3次ブームでは「データから自動的に学習する人工知能」の実用化が急速に進んでいる。かつてのAIが過去データの分析・可視化にとどまっていたのに対し、近年のAIはDLを含めた機械学習でデータから未知の特徴を発見し、そこから新たな知見を得ることが目的というわけだ。

機械学習(ML)とは?
機械学習(ML)とは?

 こうしたAIと機械学習の進化によって、過去の傾向から未来を予測したり、データの多次元分析で類似傾向のグループを発見したり、変数の関係分析から関連性を見いだしたり、さまざまな「推測」を得られるようになる。それらを活用して対応を自動化すれば、商品のレコメンデーションや分類・異常検知による不正や故障の発見、ユーザ属性の推定など、多方面への実用化が可能になるだろう。

機械学習(ML)でできること
機械学習(ML)でできること

マイクロソフトは「弱いAI」の技術進化で優位性を発揮する

 しかし、あくまでマイクロソフトが提供するのは、SF映画に登場するマザーコンピュータのような複雑な処理を行う「強いAI」ではなく、パターン認識や自動計画など狭い領域における「弱いAI」だ。

 マイクロソフトではAIに対する積極的な注力・投資が行われており、例えば音声認識技術は2016年10月に「人間並み」まで到達したことが発表され、2017年1月には深層学習を活用した自然言語理解に強みをもつカナダのAIベンチャーを買収したことが報じられている。またメディアにおいても、AIに投資する企業、AIの先駆者としてGoogleやAmazon、IBMなどと並んで紹介されることが多い。

 佐藤氏は、1991年から行われているマイクロソフトのAI分野での取り組みを紹介。例えば、Hotmailで1997年から実施している迷惑メールの判別や、2010年に登場した、人の動きを認識する「Kinect」が代表的だ。2014年からは毎年のように、翻訳APIの「Microsoft Translator」、社内における機械学習の知見を外部化した「Azure Machine Learning」、女子高生設定の人工知能「りんな」、深層学習ツールキットの「Microsoft Cognitive Toolkit」、ソフトバンクロボティクスとの提携によるクラウドロボティクス分野への進出、機械学習ベースのインテリジェントAPI「Microsoft Cognitive Services」など、先進的な取り組みをコンスタントに行ってきた。また、2016年には5000人以上のAI専門家から成る「Microsoft AI and Research Group」を設立し、さらなる発展が期待されている。

マイクロソフトのAI分野での取り組み
マイクロソフトのAI分野での取り組み

 そして佐藤氏より、2016年末から2017年にかけての最新のマイクロソフトのAI・機械学習関連のサービスとして、以下の2つが紹介された。

音声認識パーソナルアシスタント「Cortana」

 音声を認識し、自然言語での働きかけで対応する「人工AI秘書」。Windows 10のほか、Windows Phone、AndroidやiOSにも対応し、メールやカレンダーなど自ら保有するデータと連携できる。2017年1月には、各種デバイスへの搭載を支援する開発者向けキットとして、「Cortana Skills Kit」と「Cortana Devices SDK」が発表された。

Skype Translator

 音声および入力テキストの翻訳を自動的に行う。インスタントメッセージでは50以上の言語をサポートしており、チャットルームで多言語でのやりとりなども可能だ。9カ国語については通話による翻訳も可能だが、残念ながら日本語に関しては未対応。2016年12月よりSkypeを利用していないユーザの固定電話や携帯電話との会話でも利用が可能になった。

 こうした取り組み・活動の基盤となるマイクロソフトの考え方として、佐藤氏は「Democratizing AI=AIの民主化」を挙げ、「どんな人でも簡単にAIや機械学習の技術を利用できる環境を提供することで、価値を生み出してもらいたいと考えている」と、その姿勢を強調した。

多彩なAI活用パーツをAPIとして提供

 マイクロソフトでは、まずファーストパーティとして自社のサービス・製品のためにAI研究・活用を行い、それを多くの人が活用できるように、オープンソースやクラウド上のサービスとして提供している。このようにAIに関するインフラ/サービスとしてフレームワーク化したのが、下記の図だ。まず、Azureプラットフォームとして世界中からアクセス可能なコンピューティングリソースが存在している。その上にビッグデータ活用のためのAzure HDInsightAzure Data Lake、そして自社独自のデータのアセット、それらを融合して活用するためのアルゴリズムとしてAzure Machine LearningやMicrosoft Cognitive Toolkit、データサイエンスツールのAzure Machine LearningやMicrosoft Rが乗り、その上でMicrosoft Cognitive ServicesやMicrosoft Bot Frameworkなどが提供される。

AIのためのインフラ/サービス
AIのためのインフラ/サービス

 佐藤氏は「あらゆるレベル、レイヤーで皆さんに必要なものを提供する」と、フレームワーク化の目的について述べ、「ちょっと音声認識が使いたいなら『Cortana』を、データサイエンスについて学びたいと思えば『Azure Machine Learning』をというように、ニーズに合わせて使っていただきたい」と語った。

 その中で、まず最も簡単に利用できるAIツールとして「Microsoft Cognitive Services」と「Microsoft Bot Framework」が紹介された。

Microsoft Cognitive Services

 理解、計算、判断、思考などの知的な能力を“人工知能パーツ”としてWeb API経由で利用できるサービス。「Microsoft Garage」で公開されている、写真から年齢を判別する「how-old.net」や、写真から内容を判別して文章化する「www.captionbot.ai」などが例として紹介された。知覚・音声・言語・知識・検索の5カテゴリに、これら25種類のパーツが用意されており、自分のニーズに合わせて機械学習によるトレーニングもできるようになっている。

Microsoft Cognitive Services一覧
Microsoft Cognitive Services一覧

 佐藤氏はこの中から、写真認識ツールのデモンストレーションを行ってみせた。また、既に実際のビジネスで活用されている例として、Uberでの登録ドライバーの顔認証や、Volvoでの表情、動作からの危険予測などが紹介された。また、言語カテゴリのAPIによる自然言語の文章構造解析やポジネガ分析などは、SNS上での印象分析などに既に実用化されているという。

Microsoft Bot Framework/Azure Bot Services

 チャットボットが容易に作成できるアプリケーションや機能を集めたフレームワーク。SkypeやFacebook Messenger、Slackなどのチャネルが用意されており、C#やNode.jsなどで実装するだけでさまざまなコミュニケーションが可能になる。さらにAzure Bot Servicesを活用すれば、Azure Functionsというサーバレスの仕組みの上にチャットボットのAPIを実装し、クラウド上で完結することができる。単体ではもちろん、前述のMicrosoft Cognitive Servicesと連携させれば、さらにユニークな仕組みが簡単に開発できる。事例として2016年12月に開始された、ナビタイムジャパンによる自然言語での「乗換検索」サービスが紹介された。

AIを活用するための機械学習や深層学習のツール

 膨大なデータをMicrosoft Cognitive Servicesやチャットボットに活用するためには、機械学習による分析やアルゴリズムの創出などが不可欠となる。マイクロソフトのAIインフラ/サービスの中で、その部分を担うのが「Azure Machine Learning(Azure ML)」および「Cognitive Toolkit(旧称CNTK)」だ。

Azure Machine Learning(Azure ML)

 クラウドベースの機械学習実行基盤。クラウド上で機械学習のモデル作成・評価を行い、完成すればAPIとして公開ができる。Webベースの開発ツールでサンプルから自由に部品をドラッグ&ドロップし、各部品のプロパティを設定するだけで作成が可能だ。R言語およびPythonに対応しているので、もし必要なアルゴリズムがない場合は、オープンソースからロードして利用することもできる。事例として「Halo 4 on Xbox」で友人とのプレイ数などのデータから“解約しそうな会員”を特定して対応する仕組みが紹介された。

Microsoft Cognitive Toolkit(旧称CNTK)

 AI技術を利用した深層学習ツールキット。もとはMicrosoft Researchのスピーチ研究チームが開発し、それをオープンソース化したもの。多様な種類の深層学習アプリケーションに対応しており、BrainScriptという独自スクリプトで書かれていたが、2016年11月にPythonとC++に対応し汎用性が広がった。日本でも三井住友銀行で自動応答システムなどに活用されているという。公式Webサイトにサンプルが掲載されているほか、Azure NotebooksではPythonべースのインタラクティブなUIがAzure上で無料利用できる。興味のある人は使ってみるとよいだろう。

 最後に佐藤氏は改めて「マイクロソフトは、クラウドのインフラから、ビッグデータ基盤、そして機械学習のアルゴリズムやツール、そして完成したサービスとしてのCognitiveサービスまで、さまざまなレイヤーのサービスを提供している」と強調し、「皆さんの興味関心に応じたサービスが必ず見つかるはずなので、ぜひ、試していただきたい」と語り、講演を結んだ。

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 日本マイクロソフト株式会社

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