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【デブサミ九州2017】セッションレポート (AD)

週1時間の取り組み「KAIZENアワー」は技術負債の解消にとどまらない、エンジニアが成長する場として機能【デブサミ九州2017】

【A-2】Webフロントエンド、改善の積み重ね

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 Yahoo! JAPANの社内ベンチャーとして誕生し、スマートフォンのリッチ広告事業やWebサービスの設計・開発を手がけるリッチラボ。同社では2017年2月より、開発チームの課題解決とエンジニア同士の啓発の場として、毎週金曜の夕方に1時間「KAIZENアワー」という取り組みを社内で開催している。そこでは各人が自由に改善活動を実施。新しい技術的アプローチの検討やツール導入による自動化、効率化といった具体的な開発手法へのチャレンジが行われ、ツールごとで異なるコーディングスタイルの統一など、成果が上がっているという。スタートから半年が経過したKAIZENアワーだが、単なる技術負債の解決にとどまらない、相互研鑽やエンジニアの成長の場として定着している。その効果について、同社の穴井宏幸氏が実例を交えながら語った。

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ヤフー株式会社 マーケティングソリューションズカンパニー開発本部/第6代黒帯(JavaScript) 穴井宏幸氏
ヤフー株式会社 マーケティングソリューションズカンパニー開発本部/第6代黒帯(JavaScript) 穴井宏幸氏

「KAIZENアワー」は、エンジニア同士の課題解決と啓発の場

 穴井氏は現在、Yahoo! JAPANの社内ベンチャー制度から生まれたリッチラボ株式会社で、スマートフォンのリッチ広告事業やWebサービスの設計・開発に携わっている。Yahoo! JAPANでは長年にわたってハッカソンイベント「Yahoo! JAPAN Hack Day」を開催しており、その中で生まれた有望なアイディアは社内起業という形で独立させてきた。リッチラボもその一つで、2017年9月には設立から3年を迎えた。

 同社は、開発チームの技術向上や課題解決、自己研鑽のための時間である「KAIZENアワー」を設けている。毎週金曜日の夕方に1時間の枠を取り、出席メンバーは各自がそれぞれ決めたテーマで改善活動を実施する。

 「内容は例えばコードを修正したり、わからないことについて調査したり、普段から大事だと思っているけれど、業務が忙しくて手がつけられないことをやってみたりと人それぞれです。改善であれば何でもいいという融通が利く形をあえて取っていて、最後の5分でそれぞれの成果を発表し、お互いをたたえ合っています。つまり、課題解決の場であり、エンジニアが相互にモチベーションを啓発する場となっているのです」

軽いノリで始めた週1回の集まりが、改善の場として社内に定着

 穴井氏がKAIZENアワーを思いついたきっかけは、Node.jsのカンファレンスとして知られる「東京Node学園祭2016」にて、「サイボウズの開発を支えるKAIZEN文化」の発表を見たことだった。サイボウズ社では「KAIZEN DAY」や「KAIZEN合宿」といった取り組みが展開されており、穴井氏も興味を持った。しかし、リッチラボは社員数19名のベンチャー企業ということもあり、通常の業務を止めて丸一日もしくは泊まり込みで実施するのは難しいと感じた。

 「そこで、まずはとりあえず週1時間でやってみて、続かなかったらやめればいいし、大丈夫そうであれば続けようといった軽いノリで始めました」

 KAIZENアワーが始まったのは、2017年の2月。半年を過ぎたところだが、成果は上々だという。金曜日が祝日の場合は前日に繰り上げて行うなど、ほぼ毎週の開催を続け、常に4~5人がコンスタントに参加している。時間数で数えてみると、累計で約88時間になっていた。

「各会の参加人数×1時間」で、累計88時間の改善活動が行われた
「各会の参加人数×1時間」で、累計88時間の改善活動が行われた

 「最近は改善活動という発想自体が社内に定着した印象です。また、私たちの活動を見て『面白そうだから自分たちもやってみよう』と、似た取り組みを始めたチームも出てきています。自分としては、軽い気持ちで始めたわりにはうまくいっていると考えています」

「1時間でできる」「小さな単位でわかりやすく」が継続の秘訣

 KAIZENアワーでの主な改善テーマは、大きく3つある。まず、いわゆる「割れ窓をふさぐ」こと、つまり職場や業務の小さな問題を放置せずに改善し、質の高い仕事ができる環境を整える取り組みだ。2つ目が「技術負債の解消」、そして3つ目は「運用効率を上げる」ことだ。技術負債の解消の具体的項目としては「依存オープンソースソフトウェア(OSS)のバージョンアップ」「ドキュメントを書く・正す」「不要になったコードの削除」「アンチパターンの排除」などが挙げられる。

 穴井氏は、KAIZENアワーを実施する上で個人的に設けている“方針”があると明かす。例えば「1時間でキリがつくように行う」「プルリクエストはなるべく小さく、わかりやすい単位で行う」といったことだ。というのも、フロントエンドエンジニアは穴井氏一人で、むやみにプルリクエストを投げても、バックエンドのエンジニア2人にコードのレビューで負荷がかかってしまう懸念があるからだ。

 「小さな変更でも、それが実際に動くかどうかはその都度ローカルで起動して動作確認しなくてはならないので、なるべく小さな単位でわかりやすく依頼しないと、毎週のKAIZENアワーのたびにプルリクエストが積み上がっていくばかりです。とはいえ小さい課題ばかりこなしては、それ以上の進歩は望めないため、大きめの課題は段階を踏んで取り組むように工夫しています」

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ツールのコーディングスタイル統一に挑んだが問題は山積み

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