チームとしてのデータサイエンティストを目指そう――現場のエンジニアが実現したデータドリブンな組織とは【デブサミ2018 夏】
【A-2】とあるマーケティング部隊とデータエンジニアのデータドリブンへの道
マーケティングにおいてデジタルデータを有効に活用するには、データの取得から活用までエンジニアとマーケターがシームレスに連携することが必要と言われる。とはいえ、両者は使っている用語もスキルも全く異なり、なかなか一筋縄ではいかないようだ。一体どのような工夫やマインドセットが必要なのだろうか。実際にマーケティング部門にデータエンジニアとして入り、約3年でデータドリブンな環境を実現させつつあるパーソルキャリアの吉田雅史氏。その取り組みの様子や気付きについて紹介する。
マーケティング戦略部 マーケティングアナリティクスグループ 吉田 雅史氏
事業KPIを可視化する「DODA Marketing Dashboardプロジェクト」
2017年に株式会社インテリジェンスから社名変更した「パーソルキャリア株式会社」。パーソルホールディングスのリクルーティング事業部として、アルバイト求人情報サービス「an」や転職サービス「DODA」など、求職者と企業を対象に幅広くサービスを提供している。
吉田氏は「DODA」を手がける転職メディア事業部に所属し、その中でデータエンジニアとしてマーケティング活動に取り組んでいる。もともとJavaを用いた勤怠管理アプリケーションの開発を担当しており、ScalaやGroovyなどを好んで使い、DevOpsなどのアジャイル開発や分散処理などにも興味を持って触れてきた。そんな吉田氏の現在の仕事は、部署のデータを「いい感じ」にすることだという。すなわち事業KPIの可視化やExcel帳簿作業からの移行、他部署とのデータ連携の窓口、そして日常業務を改善するためのツール作成などが該当する。
その中で今回は「DODA Marketing Dashboardプロジェクト」と名付けられた事業KPI可視化プロジェクトについての紹介が行われた。このプロジェクトの始まりは、「前日のKPIを出社してからすぐに見られるようにすること」が目標だったという。2014年にスタートし、4年目を迎える現在も、事業活動のKPIをマーケティングとひもづけることを目標として進行中だ。
初期はエンジニアが牽引。信頼を重ね合い持続的なチームに
プロジェクトの開始のきっかけは、Excelでデータが管理されていたため、マーケティングデータの閲覧にタイムラグが発生するといった課題だ。それをWeb上に移行してスピーディに閲覧できるようにしようとプロジェクトがスタートした。そこから徐々に範囲を広げて「データドリブン」な環境を実現する施策へと成長・成熟してきたという。その間、組織・エンジニアはどう変化していったのか。
まずプロジェクトの初期について、吉田氏は「エンジニアがいない組織からエンジニアがいる組織へシフトするには、まずは優秀なエンジニアが必要だった」と語る。トップの意志を理解・共感したエンジニアが参画してこそスムーズなプロジェクト化が可能になるという。しかし、本番は参加してからだ。
「最初の頃はエンジニアがマイノリティなので負担も重く、作業に没頭しがちになります。しかし、チームの一員としての存在感が希薄になることは決して望ましい状態ではなく、社内調整や業務要件整理など地道な業務も能動的に取り組み、エンジニア以外の人との関係性を密に作ることが重要です。そのためにはチーム内での役割を明確化し、ゴールを共有し、さらに認識の齟齬が生じないよう、確認を密にフィードバックしながら進めることが求められます」
吉田氏はエンジニアとしてのスタンスについてこのように語り、エンジニア以外の人と連携しながら進めるアジャイル開発に慣れることが不可欠であると強調する。さらに業務の知識を吸収してコードやアプリケーションに反映していくこと、目の前の課題ではなく本質的な課題を一緒に考えること、業務の効率化、解決した先を見据えて動くことなどを役割として挙げた。
なおスタート時のプロジェクトチームのメンバーは5名程度だったが、当初から内製BIをスクラム開発して用いたという。さらにIT部門や企画部門など社内の他部署との調整、交渉を通じて、プロジェクトを回せることをアピールし、協力を取り付けた。
当時を振り返り、吉田氏は最も大切なこととして、「お互いをよく知ること」を挙げる。そのために、例えば「KPT法」を用いて四半期ごとにプロジェクトの振り返りを実施すること、メンバーの人となりや考え方を知るためにワークショップを開催すること、そして月並みながら部署内の表彰制度を活用することもあったという。
「エンジニアがいない組織からエンジニアがいる組織へ転換する際に、最終的に最も重要なものは、お互いが信頼し合える『信頼貯金』を増やしておくことだと思います。最初の頃は結果をすぐに出すことが難しいものですが、徐々に信頼貯金を貯めていくことで協力を仰いでいくことができます。できれば個人だけでなく組織としてそうした環境が作れることが望ましいです」
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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