本記事のレポーター
- 岩塚卓弥、堅田淳也(NTTソフトウェアイノベーションセンタ)
- 岩本純佳、Jia Xiaozhou、鈴木友也(NTTデータ)
- 角田誠、山本佑也(NTTコムウェア)
SpringOne Platformとは
SpringOne Platform(以下SpringOne)はPivotal社(以下、Pivotal)が年に一度開催しているカンファレンスで、同社が開発を牽引しているSpring FrameworkやCloud Foundryに関する内容の他、プラットフォーム、開発方法論、ユーザー企業における実事例などソフトウエア開発に関する最新の情報が200名を超えるスピーカーによって語られます。
今年は前年と同程度となる3000人前後の参加者が集まりました。日本からも本記事のレポーター陣を含め40名程度が参加しています。
カンファレンスを支える50社のスポンサー企業の中には例年通り株式会社NTTデータが含まれている他、今年は富士通株式会社の名前もあり、日本企業からの注目度が高まっていることがうかがえました。
カンファレンスは午前中にキーノートにあたるMain Stageを全員が聴講し、午後は個別の技術や事例に関してより詳細に語られるBreakout Sessionsの中から興味のあるものを選択して聴講するというスタイルとなっています。
以下ではMain Stageで取り上げられた内容を中心に、関連するBreakout Sessionsの内容を補足しながら、カンファレンスで語られた主要なトピックについてレポートします。
Spring Framework 5.1での改善点と今後のリリースについて
カンファレンスの直前にあたる2018年9月21日にリリースされたSpring Framework 5.1について、Spring Frameworkの開発リーダーであるJuergen Hoellerさんによる紹介が行われました。
Spring Framework 5.1は、カンファレンス期間中の2018年9月25日にリリースされたJava 11をサポートしています。5.1より前のSpring FrameworkではJava 11を公式にはサポートしないため、Java 11にアップグレードすることを考えるならばSpring Frameworkは5.1にアップグレードしてほしいとのことでした。
5.0からのマイナーバージョンアップとなる5.1では新しい機能は比較的少ないですが、いくつかの改良が施されています。
例えば、5.0からJava 8の機能を活用するインターフェースが追加され、Bean定義にラムダ式が使えるようになりましたが、5.1ではそれに加えてObjectProviderがイテレータやストリームを返すことでマッチするオブジェクトをすべて取得できるようになっています。
その他の改善点としては、リフレクションの最適化による起動時間短縮やヒープ消費の削減などが挙げられています。
機能や性能面以外では、Oracleが開発しているユニバーサルVMであるGraalVMへの対応が進められています。なお、次のSpring Framework 5.2のリリースは2019年6月に予定されており、Java 12のサポート、GraalVMとの完全な互換性、Kotlin 1.3の完全なサポートが計画されているそうです。