ボトムアップで立ち上がった、ヤフー名古屋 Tech Meetup
「ヤフー名古屋 Tech Meetupの開催までは長い道のりがありました。ここでは、立ち上げに至った経緯と周りを巻き込んでイベントを開催したお話、イベントを今後続けていくために考えていることなどをお話します」と前置きし、セッションはスタートした。
ヤフー名古屋オフィスではもともとイベントを開催していたが、いくつかの課題があった。例えば、オフィス内に十分なイベントスペースがなく、最大でも20名程度しか収容することできなかった。これによりイベントの規模が限定されてしまい、実施内容に制限がある状態だったという。
また、名古屋オフィスのメンバーが1から企画したイベントがないことも課題だった。それまでは、ヤフーの他拠点で行われたイベントを流用したり、他社へ名古屋オフィスの会場を貸し出したりする形で、イベントを開催していたのだ。
「これらの課題を解決して、名古屋オフィス主催のイベントをより多く開催したかった。名古屋のクリエイター界隈を盛り上げ、コミュニティの輪を広げたいというモチベーションがありました」
ちょうどそのころ、2018年4月に発表されたのが、名古屋オフィスの移転だった。この移転の発表をきっかけとして、「社外向けのイベントを積極的に開催したい」という思いを持った有志が集まり、翌月にはイベント企画のキックオフが行われた。
ヤフーではオフィス移転の際、社員のなかから移転先オフィスのコンセプトや座席配置について検討するメンバーが選出される。幸運にも、イベントへの強い思いを持ったメンバーがその議論に加わることができたため、イベントを実施しやすいオフィスレイアウトを提案できたという。
通常、社内で部署やプロジェクトの立ち上げを行う場合はトップダウンで指令が下りてくることが多い。そのため、成果を上げれば上司からの評価が得られるうえに、周りからの理解も得やすくなる。また、会社の正式な組織として立ち上がるため、適材適所の人員配置が行われる傾向にある。葛城氏が運営に携わった学生向けハッカソンイベントHack Uにおいても、プロジェクトはトップダウン形式で進められていた。
一方で、ヤフー名古屋 Tech Meetupはボトムアップでプロジェクトがスタートし、有志によるボランティアで、各人の空き時間に企画・進行を行っていた。この場合、本業とは関わりのない作業に時間を費やすため、周囲からの理解を得ることが難しい。「だからこそ、ボトムアップでイベントを企画する際には、周囲のメンバーに丁寧に説明をして趣旨を理解してもらい、周りを巻き込んでいけるだけの熱量が必要になります」と葛城氏は語る。
そんななか、会社の打ち出した方針が追い風となる。「東京と大阪で行われていたコミュニティイベントを、名古屋や福岡でも行いたい」というプランが出てきたのだ。会社の方針と名古屋オフィスの思いがうまくマッチングする形となり、イベント開催は新オフィス引っ越しの1週間後に決定する。
「ビルへのイベント申請方法や受付の動線、会場のレイアウトなど、ありとあらゆることが不明瞭な状況でイベント準備が始まりました。そこで役立ったのが、私が携わっている学生向けハッカソンイベントHack Uでの経験や、他のイベントなどで学んだノウハウでした」