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【デブサミ2019関西】セッションレポート(AD)

地方でゼロからコミュニティを作る!ヤフー名古屋オフィスの事例に学ぶ、円滑なイベント運営のコツ【デブサミ2019 関西】

【B-4】名古屋でエンジニアが中心となり、ゼロからコミュニティを立ち上げた話

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 ヤフーの名古屋オフィスに勤める葛城 友香氏は、学生向けハッカソンイベントHack Uの運営や、ヤフー名古屋 Tech Meetupの立ち上げに関わった人物だ。葛城氏は「名古屋ではクリエイター向けのイベントが他の地域と比べて少ないが、これは勉強会やイベントの基盤がないことが原因」と語る。その基盤を構築するため、数多くの取り組みを続けてきた。本セッションでは、名古屋オフィスで働くヤフーのエンジニアたちが、ヤフー名古屋 Tech Meetupを立ち上げる過程で得た学びと、イベント運営におけるノウハウを解説する。「イベントや勉強会を開催してコミュニティをつくりたい」と考える方には必見の内容だ。

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ヤフー株式会社 システム統括本部 サービスプラットフォーム本部 葛城友香氏
ヤフー株式会社 システム統括本部 サービスプラットフォーム本部 葛城友香氏

ボトムアップで立ち上がった、ヤフー名古屋 Tech Meetup

 「ヤフー名古屋 Tech Meetupの開催までは長い道のりがありました。ここでは、立ち上げに至った経緯と周りを巻き込んでイベントを開催したお話、イベントを今後続けていくために考えていることなどをお話します」と前置きし、セッションはスタートした。

 ヤフー名古屋オフィスではもともとイベントを開催していたが、いくつかの課題があった。例えば、オフィス内に十分なイベントスペースがなく、最大でも20名程度しか収容することできなかった。これによりイベントの規模が限定されてしまい、実施内容に制限がある状態だったという。

 また、名古屋オフィスのメンバーが1から企画したイベントがないことも課題だった。それまでは、ヤフーの他拠点で行われたイベントを流用したり、他社へ名古屋オフィスの会場を貸し出したりする形で、イベントを開催していたのだ。

 「これらの課題を解決して、名古屋オフィス主催のイベントをより多く開催したかった。名古屋のクリエイター界隈を盛り上げ、コミュニティの輪を広げたいというモチベーションがありました」

 ちょうどそのころ、2018年4月に発表されたのが、名古屋オフィスの移転だった。この移転の発表をきっかけとして、「社外向けのイベントを積極的に開催したい」という思いを持った有志が集まり、翌月にはイベント企画のキックオフが行われた。

 ヤフーではオフィス移転の際、社員のなかから移転先オフィスのコンセプトや座席配置について検討するメンバーが選出される。幸運にも、イベントへの強い思いを持ったメンバーがその議論に加わることができたため、イベントを実施しやすいオフィスレイアウトを提案できたという。

 通常、社内で部署やプロジェクトの立ち上げを行う場合はトップダウンで指令が下りてくることが多い。そのため、成果を上げれば上司からの評価が得られるうえに、周りからの理解も得やすくなる。また、会社の正式な組織として立ち上がるため、適材適所の人員配置が行われる傾向にある。葛城氏が運営に携わった学生向けハッカソンイベントHack Uにおいても、プロジェクトはトップダウン形式で進められていた。

 一方で、ヤフー名古屋 Tech Meetupはボトムアップでプロジェクトがスタートし、有志によるボランティアで、各人の空き時間に企画・進行を行っていた。この場合、本業とは関わりのない作業に時間を費やすため、周囲からの理解を得ることが難しい。「だからこそ、ボトムアップでイベントを企画する際には、周囲のメンバーに丁寧に説明をして趣旨を理解してもらい、周りを巻き込んでいけるだけの熱量が必要になります」と葛城氏は語る。

 そんななか、会社の打ち出した方針が追い風となる。「東京と大阪で行われていたコミュニティイベントを、名古屋や福岡でも行いたい」というプランが出てきたのだ。会社の方針と名古屋オフィスの思いがうまくマッチングする形となり、イベント開催は新オフィス引っ越しの1週間後に決定する。

 「ビルへのイベント申請方法や受付の動線、会場のレイアウトなど、ありとあらゆることが不明瞭な状況でイベント準備が始まりました。そこで役立ったのが、私が携わっている学生向けハッカソンイベントHack Uでの経験や、他のイベントなどで学んだノウハウでした」

他のイベントで学んだノウハウを活かす
他のイベントで学んだノウハウを活かす

イベント主催者は知っておきたい運営のノウハウ

 ここから葛城氏は、イベント運営の具体的なノウハウについて解説していく。

 まずは、「PM(責任者)は当日のタスクを持たない」というものだ。手を動かさず、責任者としての各種の判断と、登壇者や関係者への挨拶だけを行う。なぜなら、どれだけ準備を万全に行い、多くのイベント運営を経験していても、当日は必ず何かしら予期せぬことが起きるからだ。

 そのときに、PMがタスクを持っていない状態であれば、すぐに問題に対応できる。また、他のイベント関係者が何かしらPMに相談したい内容があった場合にも、即座に連絡がつく。これにより、スムーズなイベント運営を実現できる。

 加えて、「特定の役割になるべく2人以上をアサインする」ことも重要だという。メインの担当者にはすでにその役割を経験したことのあるメンバーを、サブの担当者には未経験者をアサインする。こうすることで、未経験のメンバーでもその役割を担いやすくなるためだ。そして、サブ担当者であったメンバーを次回のメイン担当者にすることで、他のメンバーへとノウハウが伝搬していく。

 その他にも、下図のノウハウがイベント運営の助けになると葛城氏は解説した。

その他のノウハウ
その他のノウハウ

 また、当日どうしても人手が必要になり、誰かに手伝いを依頼することもあるだろう。その際には、タイムスケジュールに沿ったシフト表をつくることがおすすめだという。何時からセッションが開始されるのか、どのパートを誰が担当するのかなどをシフト表に記載しておく。すると、イベント開始前の忙しいときでも運営者が手伝ってほしいことを助っ人に説明しやすくなり、助っ人もイベント情報を視覚的に把握しやすくなるのだ。

 ヤフーの名古屋オフィスでは、今後もヤフー主催のイベントのみならず、他社にも会場を貸し出してさまざまなイベントを開催していく。2019年3月に新オフィスへと引っ越してから、(登壇した2019年9月27日時点で)24回も社外の方が参加するイベントを開催したという。「『名古屋でクリエイターの未来をつくる』というビジョンを掲げて、名古屋のコミュニティリーダーとして尽力していきたい」と、葛城氏は語る。

 「コミュニティの新規立ち上げにおいては、課題を解決しながらできることからコツコツと進めていくことが大事です。小さなイベントでもいいですから、まずは開催して、ノウハウや人脈をためていくことが後々のイベント開催に役立ちます。

 周りを巻き込んでイベント運営の輪を広げることも必要です。熱意を持って、やりたいという意思をなるべく広く伝えましょう。そうすることで、思いがけないところから声がかかることがあります。

 そして、継続・維持することが重要です。イベントに限ったことではありませんが、やればやるほど課題も生まれてきます。生まれた課題を次のイベントで解決するつもりで、継続していきましょう。

 ヤフー名古屋 Tech Meetupの立ち上げをふり返ってみると、楽しい記憶ばかりでした。何もかもが0からのスタートでしたが、新しいことを成し遂げる楽しさや充実感は何ものにも代えがたいものです」

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/11768 2019/10/18 12:00

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