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Kubernetesから強化されたOpenShiftの便利な機能とは? IBMが「3C」でコンテナ導入をサポート

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充実した管理機能を提供しているOpenShift

――OpenShiftが運用管理のハードルの高さを吸収する機能を足していることがよくわかりました。OpenShiftの開発者向けに便利な機能を教えてください。

 OpenShiftを利用するメリットは色々ですが、開発者視点ではS2I(Source-to-Image)という仕組みが挙げられます。これはソースコードからコンテナイメージを指定するだけで、アプリケーションを自動的にデプロイできるというものです。S2Iを使うとソースコードとコンテナが分離しているので、ソースコードの開発やテストに集中することができます。また、デプロイ時においては構成管理ツールのAnsibleのPlaybookからアプリのワーカーノードと呼ばれるコンテナ実行環境を追加できる点も便利ですし、OpenShiftではインフラエンジニア向けのツールも充実しています。例えば、PrometheusやGrafanaのようにKubernetesにはないコンテナ監視に特化したツールがありますし、ロードバランサーも標準機能として装備されています。

開発者向けに便利な機能を備えるOpenShift
開発者向けに便利な機能を備えるOpenShift

――OpenShiftにはKubernetesよりも便利な機能があるわけですね。OpenShiftはどんな要件のアプリケーションに適していますか。

 OpenShiftはあらゆるエンタープライズで採用する価値があるプロダクトだと思います。特定の業界だけのものでもありません。強いて言えば、インターネットを介したサービスデリバリーを行う案件で有用と言えるでしょうか。例えば、IBMのグループ会社の一つに気象データとそれを活用したソリューションを提供するThe Weather Companyがあります。その稼働環境として使われているのがRed Hat OpenShift on IBM Cloudです。気象情報サービスのように、スケーラビリティの担保とセキュリティの強化が不可欠なアプリケーション稼働環境を構築したい場合、OpenShiftは必ず選んでほしい選択肢です。

――Red Hat OpenShift on IBM Cloudの話が出てきたところで伺いますが、OpenShiftをIBM Cloudで使うことでどんなメリットを得られますか。

 IBM Cloudはセキュリティ標準を始めとするさまざまな認証を取得しているので、多種多様な業種のお客様が安心して環境を使うことができます。私がIBMらしいと思うのが、シングルテナントやマルチテナントだけでなく、ベアメタルの選択肢を用意していることです。これは自分だけの環境を確保したいと考えるエンタープライズのお客様にとって魅力的だと思います。また、AIやブロックチェーンを含む190種類のテクノロジーを組み合わせて動かすことができるのも、IBM Cloudだからこそです。もう一つ付け加えると、お客様へのコンサルティングやSIをサポートする専門チームもいるので、導入から運用管理に至るまでをお客様と伴走しながら支援できる点もIBMの強みです。

3つのCでエンジニアをサポート

――では、OpenShiftを使いたいと思った企業は何から始めればいいでしょうか。

 まず、2019年11月から2020年5月にかけて、ハンズオンプログラムが中心のイベント「Kubernetes with OpenShift World Tour」を各国で展開します。日本では、「IBM Developer Dojo」にて行います。IBMでは、グローバルでコンテナ技術を使えるエンジニアを増やすことを急務と考えており、イベントではトレーニングを無償で提供しています。開発者が自分の手を動かしてOpenShiftでできることを学習し、成功体験を持ち帰って、次につなげてもらうことができればと考えています。ぜひconnpassの「IBM Developer Dojo」のページで最新スケジュールをご覧ください。

 開発者向けの情報提供では、「IBM Developer」サイトがあります。旧「IBM DeveloperWorks」というサイトを開発者向け情報ポータルとしてリニューアルし、Red Hat関連の最新情報もこちらに載せるようにしました。セミナーの最新情報や記事、および自己学習用のコンテンツを提供しており、ブックマークをお勧めしています。また、使い方のアイデアを必要としているエンジニアに向けては「IBM Developer」の中にある「Code Patterns」が参考になると思います。

問題を素早く解決し、アプリ開発を加速するパターン集「Code Patterns」
問題を素早く解決し、アプリ開発を加速するパターン集「Code Patterns」

――今後、OpenShiftに関するどのような開発者へのサポートをしていきたいですか。

 2019年11月に出版した著書『DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C』(翔泳社)でも書いた「DevRelの3C」をキーワードにOpenShiftを広めていきたいと考えています。

 3Cの最初のCがCode(コード)です。Code Patternsで実際に使えるサンプルコードを提供することに加え、エンジニアに使ってもらえるわかりやすいコードを自分たちで書いて提供していきたいと考えています。2番目のCはContent(コンテンツ)です。IBMドメイン配下の記事を読んでもらうことだけでなく、アドベントカレンダーのようにエンジニアが読んでくれる機会の多いところに情報を提供していくつもりです。今のところ日本語のコンテンツが英語ほど充実していないのが課題で、要点だけでも素早く提供できないかと考えています。最後のCはCommunity(コミュニティ)になります。Dojoの他にもコンテナ関係のコミュニティは多いので、参加したお客様との対話やサポートを通じて、私自身もOpenShiftの1ユーザーとしてコミュニティを盛り上げたいですね。

 また、「Call for Codeグローバル・イニシアチブ」の取り組みもさらに強力に進めていきたいと思います。これはエンジニアが最新のテクノロジーを使って世界の社会問題を「コード」で解決することを試みる長期的なプロジェクトです。2019年のテーマは自然災害の解決で、5000を超えるアプリケーションの応募がある中、稼働環境にKubernetesを活用したものが上位に来ていたことが印象的でした。Kubernetesのような最新テクノロジーを駆使して、社会に貢献することもエンジニアが一人の人間として成長する上で大事だと思います。日本でこの活動を広めることにも取り組んでいくつもりです。

日本IBM シニアデベロッパーアドボケイト 戸倉 彩氏

 CACでのサポート業務でエンジニアとしてのキャリアをスタート。セキュリティ関連やネットワーク周りに関心を持ったことをきっかけにシマンテックにシステムエンジニアとして入社。米国本社での勤務を含め、サーバー/クライアント系に特化したセキュリティの知識と経験を積む。帰国後は日本ベリサインにワンタイムパスワードなどの製品群のプロダクトマネージャーとして入社し、Security as a Serviceビジネスの立ち上げに従事。その後、マイクロソフトにて約6年間にわたり、Microsoft Azureのテクニカルエバンジェリストとして活動。ここで、自分のキャリアの棚卸しをしようと4か月フリーランスで働いた後、「最もやりたいことは開発者とのリレーションを築く仕事(DevRel)」だと気づき、IBMでデベロッパーアドボケイトの仕事に従事する。日本クラウドセキュリティアライアンス(CSAジャパン)個人会員。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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 フリーランスフォトグラファー

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