アドテク分野でAI活用を推進するジーニーCTO・孟氏
──これまでのキャリアを教えてください。
中国・上海出身です。大学で日本語を専攻した際、うまく日本語を話せるようになりたいと思い、日本に語学留学しました。しかし語学留学中に大学を中退し、その後はソーシャルゲーム会社やインターネット広告会社など、大手からベンチャーまで幅広い事業領域でエンジニアを経験してきました。CMS(コンテンツ管理システム)の開発に従事したことをきっかけに、アドテクノロジー(以下、アドテク)分野のキャリアを積むことになりました。
その後、アフィリエイトサービスを開発している企業に転職し、アフィリエイトシステムやDSP(Demand Side Platform:インターネット広告の費用対効果の最大化を目的としたプラットフォーム)のデータ基盤、さらにはAI推論など、かなりディープなアドテクの仕組みを経験しました。
自社プロダクトを開発できる環境に惹かれ、ジーニーに入社しました。参画後は、データ基盤やサイエンスチームをゼロから立ち上げました。
──CTOとしてはどんなことに取り組んできたのでしょうか。
最初に取り組んだのは、データ基盤の統合です。継続的にこのプロダクトを改善し続けられるような仕組みも作りました。
また、ジーニーのグループ会社である、AIを活用したプロダクト開発・販売を行うJAPAN AI株式会社のアドバイザーも務めています。ジーニーグループ全体へのAIコーディングの推進、さらにはJAPAN AIと一緒に、AIモデルのファインチューニングを行っています。

どんな挑戦でも支援するジーニーのエンジニア組織とは
──ジーニーのエンジニア組織の規模、およびチーム構成を教えてください。
約3年前にOKR(Objectives and Key Results)を導入しました。評価制度が刷新されたのを機に、これまで全社共通のR&D組織としてまとまっていた開発部隊をプロダクト別のチームへと再編成しました。とはいえ、AI基盤やデータ基盤、生成AIなどの共通部分については車輪の再発明にならないように、機能別のチームも編成。一部のエンジニアにはプロダクト別と機能別の双方を兼任してもらっています。
例えば、生成AIに携わるJAPAN AIチームは、法人が生成AIを容易に活用できるサービスを素早く開発、展開することが求められます。生成AIという最先端技術に触れながら、柔軟な開発が必要です。
またアドテクチームの場合は、1秒間に最大数十万ものアクセスをさばきながら、AIを活用し、アドテクの効果を最大化する状態を常に保つことをミッションとしています。このチャレンジもエンジニアにとっては面白いことだと思います。
──組織の特徴として1つ挙げるとしたらどのようなところでしょうか?
エンジニアに与えられる裁量権が大きいことです。これは、スピード感を持ってイノベーションが起きやすい状況を保つためです。
もちろん、新しいチャレンジにはリスクも伴います。そこでリスクを最小限にするための仕組みを用意し、新しいチャレンジがどのくらいインパクトを与えられるかをABテストなどを用いて、定量的に計測できるようにしています。
実は、ジーニーのプロダクトのメインロジックは、当時の新卒1年目のエンジニアが提案してくれたものです。年間の売り上げが数十億円のプロダクトに自分のロジックが適用される。このようなチャレンジしやすい、イノベーションを生みやすい環境があるのは、ジーニーの強みだと思います。