住友商事グループのDXを推進するエンジニア集団
Insight Edgeは、住友商事グループのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するDX技術専門会社として、2019年7月に設立した。
「住友商事のDX会社として紹介されると、ビジネスコンサルのイメージを持つ人が多いのですが、データサイエンティストや開発エンジニアが集まって、ビジネスの企画はもちろん、実装や設計をメインとしているエンジニア集団です」(福井氏)
住友商事では2016年4月にIoTやAIをビジネスでどう活用できるかを検討するためのバーチャル組織「IoT&AI Working Group」を立ち上げ、DX関連の技術チームとして活動。2018年4月に、社内外のメンバーを増やし、DXセンターとして組織を再編成した。
技術チームはスタートアップとの共創やフリーランスの技術パートナーが多かったが、社内にもエンジニアを増やし、継続性とノウハウの蓄積をより高めるべく、2019年にInsight Edgeを創業する。
多岐にわたる産業分野とデジタル技術を活用してDXを推進
Insight Edgeは、「技術の力で世界をRe-designする」ことをミッションに掲げ、デジタル技術を使って「ビジネスモデル変革」「新ビジネス創出」「既存ビジネス高度化」を推進・変革していく。
ビジネスドメインの産業分野は、金属、輸送機・建機、インフラ、メディア・デジタル、生活・不動産、資源・化学品と多岐にわたり、2019年12月現在、現在160プロジェクトが進行中。対象となるユーザー・顧客は、住友商事グループの事業会社で海外・国内に900社を超える(海外で700社超)。
現行プロジェクトは、AIを活用した需要予測や予防保全、アプリ提供、サブスクリプションモデルを提供するビジネス高度化のプロジェクトが半数を超え、マッチング、シェアリング、プラットフォーム、マーケットプレイスの展開といった新ビジネス創出などがある。
利用技術別の分類で見ると、AI・データ分析が1/4以上、アプリ・プラットフォーム開発、IoT、ブロックチェーン、ドローンも合わせて1/4強。その他はまだ技術が決まっていない相談。例えばスマートシティなど。これからブレイクダウンされて、具体的な技術に落ちていくのだという。
利用技術別で見るDXプロジェクト例
AI・データ分析
Insight Edgeのターゲットは住友商事の事業会社。総合商社において、モノを仕入れて加工して売るというビジネスでは、市況予測や需要予測、価格予測、在庫量最適化などが重要になってくる。安く仕入れて高く売る、今後の経営企画を立てる上でも参考になるので、より精度の高いモデルが必要とされる。
BIによる可視化は、GPSを活用した位置情報集計、IoTを使ってセンサーデータを取ったりする購買データ、PoSデータなど。これらはビッグデータとして、活用する取り組みもしている。さらに、工場オペレーションで不良検知や、電力プラントなどの異常・故障検知にも活用されている。
IoT
IoTのプロジェクトはパターン化しているものが多い。モノにセンサーをつけ、データを取得し、クラウドに上げてBIやWeb・モバイルで見える化するというものだ。これで資産の状態をセンサーで確認できるようになる。ただし、物流設備や機械・トラックなど、それぞれデータの仕様や環境も違うため、メーカーやクラウドベンダーも活用している。
アプリ・プラットフォーム開発
Webやモバイルアプリの導入はもちろん、B2BマッチングやB2Bシェアリングなど、AirbnbやUberのモデルを他の産業で活用できる新たなビジネスモデルのプラットフォーム構築も行っている。バリューチェーン全体の効率化もそれにあてはまる。