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【デブサミ2020】セッションレポート (AD)

DXを推進するエンジニア集団がたどり着いた「ともにつくる」組織作りとは【デブサミ2020】

【13-D-5】ともにつくる「DX」〜事業会社、スタートアップ、グローバル、そして・・・「あなた」〜

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「ビジネス側とエンジニアの一体化」を目指す

 DXの主体はビジネスである。ビジネスを変革し、高度化していく。高度化であろうが新規ビジネスだろうが、デジタル技術活用は必須であり、外せない。そこで重要になってくるのが、ビジネス側とエンジニアの一体化ができる組織だ。AIやIoTといった最新技術を活用するには、スタートアップとの協業が重要なファクターになってくる。

 同社が推進しているプロセス概要についても、以下の図のように説明された。「相談・アイデア想起」、要は企画フェーズでは、まず提案・課題の確認を行い、それをもとにビジネス課題の整理をする。技術要素を検討し、何が使えるか、何が必要か、この段階で整理することが重要だ。

 「DX施策検討」ではビジネスモデルを検討し、その技術を使ったときの課題を整理する。ここで実証実験するための計画を立て、プロジェクト化するフェーズだ。「実証実験」では、ビジネス実証と技術実証を、両方一緒に行う。

 「実用化検討」で残存課題を整理し、この段階で止めることもあるし、まだ課題があれば検討する。そして「実用化・運用」へと進んでいく。

 「あえて一番重要なところを挙げるとすれば、上2つのフェーズですね」(福井氏)

 DXプロジェクトはまず、既存ビジネスの理解がないと始まらない。現行オペレーションの理解と高度化・改善したい課題の理解から進めていく。そして、新規ビジネスの理解も深める。エンジニアも参加し、技術的な実現可能性を探っていく。この段階から参画すると、後々のフェーズがスムーズに進み、楽になるからだ。

 ビジネスが理解できていると、どういう観点で実証実験を行い、本番システムを作るかが検討しやすいという面もあるが、エンジニアとしての視差を示す役割もある。この段階で技術的な実現可能性や、どんな技術が使って運用体制を立てるかを考えることが重要になってくるからだ。

 ゴールを明確化し、プロジェクト継続判断の基準にするためには定性効果と定量効果を文字化・数字化することも重要だ。何がどれだけ改善され、利益が出るのかを明確に定義しておくべきと、福井氏は強調する。

 さらに実証実験に進む前には、体制や運用に無理はないかなど、エンジニア視点から示唆出しを行う。ビジネス側が意識していない技術的な観点で、オペレーションできるかを判断することが大事だという。

DXプロジェクトの推進体制と自社DX人材の重要性

 従来のプロジェクトは、コンサル会社主体で進み、実装フェーズになってから、ITベンダーやスタートアップ企業が参加し、モノを作るといった体制が多かった。だが、DXプロジェクトではスモールスタートで、数多くのトライアルがしたい。従来型スタイルでは、時間もコストもかかり、その間にビジネスが陳腐化してしまうし、競争に勝っていけない。

 また、各組織が類似の相談をベンダーにしていることがあると、費用も重複する。企画を考える人、ビジネスモデルを整理していく人、実装する人、この三者が分断してしまうと、インフォメーションギャップも生まれる。そこで同社では、自社DX人材の確保や育成を含めて取り組んでいる。

 自社エンジニアの重要性として挙げられたのは、以下の4点だ。

  • ビジネス理解
  • 企画から実現までのスピード
  • 費用
  • やわらかいアイデアの相談ができる

 そして、現行のプロジェクトの推進体制は、以下のように企画チーム、技術チーム(Insight Edge)、投資チーム(スタートアップと連携)という3つのチームが一つの組織として動けるようになっている。

 企画チームは、各部門でビジネスを推進していた人が異動して結成された。外部のコンサル会社ではビジネスを推進する側とDXを作る側で分断されてしまうからだ。主体者として考える体制を作るため各部門から集めて、推進している。各産業の専門知識を持った専門家であり、デジタル的な知識もあるので、通訳的な役割も果たす。

 各部門で産業がまったく違うため、これまではそれぞれ独立して考えていた部分があったが、こうしてDXの組織として一つにまとめると、横にコラボレーションできるような効果も出てきた。

 さらに、スタートアップにもチームに入ってもらい、全部のプロジェクトをオープンにし、主体的に動いてもらう体制をとっている。先端技術の専門家なので、相談に乗ってもらいやすく、それぞれのスタートアップが専門領域で発揮できるように体制作りされている。

 「Insight EdgeはAIとアジャイル開発のエンジニア集団なので、エンジニア個々のスキルアップにも貢献できています」(福井氏)

 グローバルプロジェクトについては、海外と国内という壁はなく、技術支援、データ分析などを行っている。ただし、運用に関しては現地になるので、各国のパートナーを探して適宜対応していると、福井氏。海外で多いのはM&A。対象ビジネスをより大きくするDX企画や、技術DDなど技術的な調査や支援もしている。

 「今後は、海外スタートアップの先進的な技術や取り組みを横展開し、国内スタートアップの海外展開などにも注力していきたい」(福井氏)

DXプロジェクトを推進するためのエンジニアスキル

 DXプロジェクトを推進するにあたり、最も重要なエンジニアスキルとして福井氏が挙げたのは、ビジネス課題とデジタル課題を理解し、ゴール設計できること。そして、少人数でプロトタイプの開発を繰り返すために必要な専門知識や技術力を持つフルスタック(マルチスタック)。特にクラウド環境のフル活用ができる人材は貴重だという。

 さらに、ケースバイケースでベターな技術を選択していかなければいけないので、目利き力が重要となる。情報収集を日々行って、養っていくことが必要だ。AIやデータ分析を活用することも多いので、モデルを書けるようにするなど、エンジニアも基礎的な知識を身に付けておいた方が良いとのこと。それらのスキルアップには、現場での経験、イベントやコミュニティなどで、情報交換することが近道ではないかと福井氏はアドバイスする。

 Insight Edgeの求人を例に、データサイエンティストと開発エンジニアに求められる開発スキルも示された。

 「DXはビジネスが主体であるものの、デジタルが必須の時代になっているので、事業会社とエンジニアの共創体制ができる組織作りが必要となってくる。スタートアップは使う、やってもらうという意識ではなく、共創メンバーとしてチームに入ってもらうことが重要です」(福井氏)

 最後に福井氏は、ともにつくる「DX」に重要なポイントを以上のように語り、セッションを締めた。

お問い合わせ

 株式会社Insight Edge

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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