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コロナ禍をうけ再リノベーションへ オフィスの新コンセプト策定の意図と過程を振り返る

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コンセプト1:セレンディピティ――他者との何気ない会話をうむ空間へ

オフィスのレイアウト俯瞰図(CG)。エントランスから奥のセキュアスペースの入り口の間の空間を広めにとり、オープンスペースにしている。
オフィスのレイアウト俯瞰図(CG)。エントランスから奥のセキュアスペースの入り口の間の空間を広めにとり、オープンスペースにしている。

 オフィス全体の半分の空間をあえてオープンなスペースにすることで、セレンディピティにつながるような出会い頭のコミュニケーションが生まれる空間を目指しました。クライアントやパートナーと交わる空間に社員の多くも同席している。お互いが自然と紹介し合うようなことが起きたら良いなと思っています。雑談を生むきっかけや、アイディアワークの新たな視点につながるような「本棚のキュレーション」といった施策も実験的に運用中です。

オープンスペースの一角/撮影:鳥居洋介
オープンスペースの一角/撮影:鳥居洋介

コンセプト2:余白――発想力や主体性を刺激する

 オンライン会議の需要は非常に高まっていますが、それに100%対応するオフィスをつくるなら、電話ボックスのようなひとり用の個室を大量に置けば成立します(正直なところ、「それつくってよ」と思う社内のメンバーもいるかもしれません)。

 ですが、「将来的に、どこでもみんながいろんなところで会話することが当たり前の空間って、個室だらけで良いんだっけ?」と疑問に思いました。

 さまざまな人が同じ空間にいる中でセキュアな会話をすることは当然はばかられますし、仕事の性質上、情報管理は徹底しなければなりません。ただそこは、ガジェットや所作を工夫することで解決すれば良いと考えました。

 オフィスの使用用途をきっちりと決め込むのではなく、1人ひとりが工夫する「余白」を残すことで、発想力や主体性を刺激することに重きを置く。これが、コンセプトのもうひとつ「余白」に込めた考えです。

2度目のリノベーションの手応えと、新たに感じ始めた課題

 バックオフィスのメンバーを除くすべての社員にフリーアドレス制を適用しました。デザイナーもディレクターも役員も関係なくです。

 クリエイティブの仕事は考えを深めたり、作業的に進めたりとひとりで行う時間も多いですし、わざわざ出社せずとも、自分の好きな空間でどこでも仕事ができてしまう側面はあります。

 最近は初めましてのご挨拶から納品まで、一度も直接顔を合わさずにプロジェクトを終えるクライアントの方も多いですが、先日初めてオフラインでお会いして「意外と身長が高いんですね」という会話を交わしたりもしました。

 画面越しでは得られなかった副次情報ではありますが、直接お話をすると本当に多くの機微に気づきます。ちょっとしたリアクションや言葉尻のニュアンス、表情からも多くを受け取れることに気づき、直接お会いできてよかったなと思うことが増えました。

 オンラインでもコミュニケーションは取れているものと思ってしまいますが、意外と見逃していることもたくさんあるのかもしれないと感じています。(もちろん、オンラインで齟齬がないように、コミュニケーションを完遂するスキルも上達しています)。

 オフラインが当たり前だったときとは違う、「オンラインが前提」での「オフラインとオンラインの温度差」が、新しい働き方を考え続けていくうえで今後の課題になっていくのかもしれません。

 次回は、上記コンセプトを受けて、実際にどのようにオフィスをデザインしたのか。その具体的なプロセスや考えをご紹介します。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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https://codezine.jp/article/detail/14697 2021/08/18 08:00

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