アドビシステムズは本日記者会見を開き、次期エンタープライズ向けソリューションコンポーネント「Adobe LiveCycle Enterprise Suite(ES)」機能や今後の戦略について説明を行った。
アドビシステムズ(以下、アドビ)は本日記者会見を開き、次期エンタープライズ向けソリューションコンポーネント「Adobe LiveCycle Enterprise Suite(ES)」(以下、LiveCycle ES)および、今後のエンタープライズ市場向け戦略の説明を行った。
LiveCycle ESは、アドビが提供するプロセス自動化ソフトウェア製品Adobe LiveCycleの新バージョン。今回よりPDFとFlash(Flex)の技術が統合し、ユーザにFlashの豊かなユーザ体験と、PDFの情報の安全性(DRM)・信頼性(電子署名)を兼ね備えたクロスプラットフォームのアプリケーションを提供する。構成も大幅に見直され、重複する機能を分離し、「開発環境」「プロセス自動化」「ドキュメント生成」「情報セキュリティ」のカテゴリに整理されたため、どの機能を利用すればよいかが明快になった。
また、すべてのモジュールがまとめて展開されるようになったため、個別にインストールする必要がなく、デプロイの手間が非常に簡略化されている。
従来までは、紙・電話・対面ベースでのやり取りが中心で、費用や時間面でコストが掛かる他、手作業による間違いが混入する可能性があったが、LiveCycle ESの導入することでプロセス時間が短縮し、それに伴う新規取引の増加、信頼性向上によるコンプライアンス対応といった効果が見込める。また、総括的なソリューションのため、開発スピードが向上する他、複数のベンダーを利用する煩雑さから解放される。
開発効率も向上しており、開発ツールのDesigner(フォーム生成)、WorkBench(プロセス管理)、Flex Builder(RIAの作成)はすべてEclipseのプラグインとして提供され(Flex Builderは別売)、Eclipseベースの統一された環境で効率よく開発を行うことができる他、リポジトリ管理のサーバ側モジュールなども用意される。
また、英語版のみでサポートされていたOfficeファイルの保護機能やPDFへの変換、LiveCycleプラットフォーム上での印刷機能などが、日本語環境でもサポート開始される。
米国での事例として官公庁での適用例が紹介された。行政サービスの申し込みにRIAを利用し(何を入力すべきかなどが分かりやすい)、プロセス自動化による審査、一覧性の高いPDFでのチェック、PDFのセキュアな機能を利用した個人情報の送付、といった活用がされているという。プロセスのマネジメント、データの取得、セキュリティといった機能がうまく連携して使われているのが印象的だ。
LiveCycle ESは、機能を制限したData Capture版と、Business Transformation版の2つのエディションが用意され、今回からシンプルなCPUライセンスで購入できるようになった。なお、RIAの効率的なデータ通信を可能にするFlex Data Servicesは、今後LiveCycle Data Services ESとなり、LiveCycle ESに含まれて提供される(個別の購入も可)。
PDFとFlashという異なる分野の技術が統合することによる新しいアプリケーションの可能性。生産性の向上やリッチなユーザ体験がもたらす開発者、利用者相互の満足が、エンタープライズ市場の成長を躍進することを期待したい。
Adobe LiveCycle Enterprise Suite
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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