米Googleの、機械学習ライブラリTensorFlow開発チームは、TensorFlowを使用してグラフ構造化データを簡単に操作できるようにするライブラリ「TensorFlow Graph Neural Networks(GNN)」を、11月18日(現地時間)にリリースした。
GNNは、Googleの本番環境における、スパムと異常の検出、トラフィックの推定、YouTubeコンテンツのラベル付けといった用途に使用されるほか、スケーラブルなグラフマイニングパイプラインのコンポーネントとして使用されているライブラリの最新バージョンで、とりわけGoogleの無数の種類のデータを考慮し、異種グラフを念頭に置いて設計されており、今回のTensorFlow GNNのリリースは研究者とのコラボレーションを促進するべく行われている。
GNNに関する基礎研究は、数十年前より行われてきたが、近年はGNNの機能において、交通予測、噂や偽のニュースの検出、病気の蔓延のモデリング、物理シミュレーション、分子の匂いの理解といった、さまざまな分野での発見がみられた。
GNNは、ノードレベルのタスクで使用してグラフのノードを分類し、画像の分類やセグメンテーションと同様に、グラフ内のパーティションとアフィニティを予測できるほか、エッジレベルでのエンティティ間の接続を検出可能で、エッジを「プルーニング」することでシーン内のオブジェクトの状態を識別できる。
TensorFlow GNNは、TensorFlowでGNNモデルを実装するためのビルディングブロックを提供するとともに、モデリングAPIに加えてグラフデータ操作を容易にするための広範なツールとして、Tensorベースのグラフデータ構造、データ処理パイプライン、ユーザーがすばやくオンボーディングするためのいくつかのサンプルモデルも用意している。
初期リリースには、他のタイプのモデルと簡単に構成可能なGNNモデルを作成するための高レベルなKerasスタイルAPI、異種グラフ用のGNN API、グラフのトポロジを宣言するための明確に定義されたスキーマ、およびそれを検証するためのツール、グラフのデータを保持する複合テンソル型のGraphTensor、GraphTensor構造体に対する操作を行うためのライブラリ、ディスク上におけるグラフ形式トレーニングデータのエンコード、およびデータを解析して、モデルによるさまざまな特徴の抽出を可能にする、データ構造に変換するためのライブラリが含まれる。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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