アドビは7月10日、Adobe AIRアプリケーション開発に関心を持つデベロッパー・クリエーターを対象としたイベント「Adobe AIR Developers Night」を開催。定員600名の会場を埋め尽くす聴衆が見守る中、Adobe AIRアプリケーション開発の先駆者による熱いデモバトルが行われた。
アドビシステムズ株式会社(以下、アドビ)は7月10日、Adobe AIRアプリケーション開発に関心を持つデベロッパー・クリエーターを対象としたイベント「Adobe AIR Developers Night」を開催。定員600名の会場を埋め尽くす聴衆が見守る中、Adobe AIRアプリケーション開発の先駆者による熱いデモバトルが行われた。
まずアドビより、Adobe AIRの近況サマリーやAdobe AIRによるSQLite管理アプリケーションが紹介されたほか、スニークプレビューとしてAdobe Flash CS3からのAdobe AIRパッケージ化を先行披露。後日、Adobe Labsから提供されるという。
続いて、個性豊かな6件のデモが繰り広げられた。
ソニー株式会社
FLO:Q(フローク)というブログパーツでの活用例を紹介。
ユーザが自分のブログウィジェットをカスタマイズしてシェアできるのが特長。PCに取り込んだデジカメ画像をデスクトップにドラッグして、ブログ上のウィジェットに反映したり、サーバからダウンロードした画像をメーラにドラッグし添付ファイルで送る、といったWebとデスクトップをつなぐ機能を持つ。
Adobe AIRの可能性として、「Web開発者のデスクトップアプリケーションへの進出」「デスクトップや周辺機器との連携によるWebアプリケーション・サービスの新たな展開」などが述べられた。
株式会社セカンドファクトリー
Nike+iPod Sport KitでiPod nanoに蓄積された情報に、体重などを追加してtwitterへポストするアプリケーション「Metabo Camp 0.8 Beta」の改良版を紹介。
ローカルファイルへのアクセス、既存サービスのマッシュアップといったAdobe AIRの特長を活かしているほか、バックエンドで動いているColdFusion 8 パブリックβの新機能であるPDFへの対応を使い、賞状の出力機能を実装している。
Adobe AIRの感想として、「Flexはアプリケーションとしてまとめることを考えるとかなりよい開発環境」「Web開発者にとってツボを付く機能がセレクトされている」「デザイナーとデベロッパーの垣根がない」などが述べられた。
ひがやすを氏
DelphiやVBのプログラムをmxmlに変換するCoraleef(こーらりーふ)という製品を利用したAdobe AIRアプリケーション作成を紹介。
DelphiやVBで作成されたクライアントサーバ型アプリケーションの資産を、Adobe AIRで再利用する可能性を提示した。HTMLやJavaScirpt、Flash以外の言語と連携するという視点でも興味深い。
Adobe AIRは、情報共有型アプリケーションに適していることから、基本的には、デスクトップアプリケーションではなくWebアプリケーションと考え、デスクトップ対応の特長を生かす、という方向性がよいと述べた。
株式会社サイトフォーディー
時計やカレンダーといった試験的に作成しているウィジェット群を紹介。
多彩な表現力が印象的。いくつかは同社のWebサイト「SiTE4D Labs」でも公開されている。デモではサイト未公開の、Flex Toolkit for Apexを利用したビジネス用ダッシュボードや、ブックマークアプリケーション(お気に入りのWebページをクリッピングして表示)など、一歩踏み込んだものも紹介された。
株式会社バスキュール
「Adobe スゴロク CS3」を制作した同社では、遊び心あふれるデモを紹介。
- Airworks
- グリッドブラウザ
今後は、より実用性の高いものも作っていきたいとしている。
株式会社ティーケーラボ
Flashを使ったメディアのプッシュ配信のサンプルを紹介。
LiveCycle Data Services(旧Flex Data Services)のPush機能を利用し、高画質大容量のデータ配信や、タイムテーブルでの時限設定などを可能にする。JavaエンジニアとFlashデザイナーの協業の実例としても特徴だ。
また同社では、Adobe AIRのポータルサイトを提供していきたいと名乗りをあげている。
Adobe AIRの可能性
今回、当初の予想以上に面白いAdobe AIRのデモを見ることができ、作り手の試行錯誤の様子なども感じられた。Adobe AIRが、Webとデスクトップ、デベロッパーとデザイナーといった境界を取り払うことで生まれる可能性は、クリエーターの魂に火をつけ、単にリッチインターネットアプリケーションという枠にとどまらない体験を提供してくれるかもしれない。
今後は、BtoBでの可能性や、比較的少ないと思われるActionScript、Flexなどの技術情報の拡充、JavaだけでなくLL言語などのWeb技術との連携なども気になる。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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