はじめに
ここまでの回では、第1回の連載で紹介したDBMSの3つの階層構造におけるアーキテクチャと実装についての技術を紹介してきました。8回目である今回からは、残りの階層であるデータ・モデルとデータ型にフォーカスしていきます。はじめは、システム間のデータ連携時に利用されることの多いJSONに着目し、RDBMSとの関係性やユースケースを見ていきたいと思います。
なお、本連載で例として挙げるデータベースはオラクルが提供しているものが多いですが、オラクル製品を使っていない方にも参考にしていただけるように解説したいと思います。
対象読者
この連載では以下の読者を想定しています。
- データ資産を活用する、新しいアプリケーションの構想や設計を担われる方
- データ基盤の運用を担われている方や、今後検討される方
- 新たに開発するアプリケーションの、最適なデータベースをお探しの方
- 目的別データベースから、価値ある情報を素早く引き出す検討をされている方
JSONとは
JSON(JavaScript Object Notation)とはテキストベースのデータ交換用フォーマットであり、データ記述言語の1つです。JavaScriptのオブジェクト表記法をベースにしていますが、JavaScriptに限らずJava、PHP、C++、Pythonなどさまざまなプログラミング言語で利用されています。
従来のデータ連携においてはCSVやXMLといったフォーマットを利用することが一般的でしたが、データ構造をわかりやすく表現できるといった開発容易性などからJSONフォーマットに置き換えるようなケースが増えてきました。
一口にデータ連携時に利用されるといっても実際にどのようなところで使われているのでしょうか。例えば、JavaScriptを利用した受発注アプリケーションです。それぞれの注文ごとに発注コード、品目、数量、配送先、希望日等々の発注データをJSONドキュメントとして記述します。これをバックエンドにいるサーバーに送信し、サーバー側は受け取ったJSONデータを元に受注処理を回します。入力画面とアプリケーションサーバー間のデータ連携だけでなく、請求アプリや受注履歴といったバックエンドのアプリケーションの連携においてもJSONドキュメントが活用されています。
そのほか、Web上で公開される各種データのフォーマットとしての利用も挙げられます。視聴履歴や公共交通機関の混雑情報、天気予報等などさまざまな外部データのJSONフォーマットによる公開が増えています。これらのサイトではAPIを公開しているケースもあるので、アプリケーション・サーバーがサイトから直接外部データを取得し活用するといった利用ケースもあるでしょう。