はじめに
この連載は、第1回に紹介したDBMSの3階層構造における「アーキテクチャと実装」についての技術の紹介から始まり、中間の階層である「データ・モデルとデータ型」についてお伝えしてきています。データ・モデルとデータ型として、JSONをDBMSで扱う方法やグラフデータモデルとグラフDBMSについて取り上げてきました。
今回は空間データの中でも前回触れたベクターデータとは違った多様なデータにも触れ、空間データ全体の特徴や実装について書いていきたいと思います。
なお、本連載で例として挙げるデータベースはオラクルが提供しているものが多いですが、オラクル製品を使っていない方にも参考にしていただけるように解説します。
対象読者
この連載では以下の読者を想定しています。
- データ資産を活用する、新しいアプリケーションの構想や設計を担われる方
- データ基盤の運用を担われている方や、今後検討される方
- 新たに開発するアプリケーションの、最適なデータベースをお探しの方
- 目的別データベースから、価値ある情報を素早く引き出す検討をされている方
ベクターデータ以外の空間データ
前回は空間のデータ表現の1つであるベクターデータを中心にそのデータ表現や実装について述べましたが、空間データにはベクターデータ以外にもさまざまなものがあります。
それらはベクターデータとは異なる特徴や利用パターンを持つため、データモデルや取り扱いにも違いがあります。その代表例がラスターデータと呼ばれる画像の形式で格納される空間データになります。また3D空間データの整備も進みつつある昨今、徐々に存在感を増している点群などの3D系のデータについても少し触れたいと思います。