ニーズが高まるPS、具体的な業務とは?
ニーズが高まるPSだが、具体的にはどのような業務を行うのだろうか。須田氏は、自身がソラコムで取り組んでいる事例を挙げて説明した。
須田氏によれば、ソラコムにおけるPSは「企画段階からクライアントと一緒にプロジェクトを立ち上げたり、その先で技術評価のPoCを一緒にやったりといった支援や、本番導入の設計を行うといった形が多い」という。
このうちプロジェクトの立ち上げ支援の場合は、最初に営業とSAのペアが簡単な技術QAなどを進めていき、この時点で深い支援が必要と判断した場合にPSが入って支援を行う。ただしPSとして支援を行う際も、必要に応じてSAに技術支援を依頼したりと、基本的には3人1組のチームで動くことになる。
こうして支援が一段落したら、顧客への引き継ぎを行うというのが一連の流れだ。「最終的には自走してもらうことが目的なので、引き継ぎはとても重要」と語る須田氏。パートナー会社でインテグレーションを行うようなケースの場合は、クライアントとパートナー企業に対して引き継ぎを行うことで、運用・保守が遅滞なく行われるように配慮している。
以上がPSとしての一般的な動きだが、とりわけソラコムが提供する「SORACOM」はIoTプラットフォームのため、必然的に支援対象もIoTのプロジェクトとなる。そのため支援においては、クラウド、ネットワーク、デバイスのそれぞれに検討すべき事項が生じうる。
これらを交通整理するために大切なのが、要件の整理だ。たとえば「センサーを使ってデータを社内で見せたい」という要望ならば、どういう人にどういうデータを見せたいのかというニーズの洗い出しや、デバイスに必要な機能やバッテリー容量の想定などをクライアントと一緒に詰めていく。このとき、「顧客が本当に欲しかったものは何か」(本質的なニーズ)を追求することもPSの役割だ。
要件が整理できたら、いよいよ自社製品を活用した構成を決定し、アーキテクチャ図などに起こしていく。しかしながら、ここで決めた構成が最初から正解ということはないという。
「プロジェクトを進めるうちに、どこかの部分は必ず仮定や仮設をもとに検討を進める必要がある。そのため、PoCを通じてプロトタイピングや評価を行うことで仮定や仮設の確からしさを評価することが大切だ」(須田氏)。またこの時、何を評価しなければならないかという評価項目を一緒に整理したり、実際にプロトタイプを開発したりといった対応を行う。
このあとに行うのが引き継ぎだ。どういった形で行うかは企業によって異なるが、ソラコムでは検討した内容を全てレポートにまとめ、クライアントと開発担当の企業に引き継ぐ。このときに大切になるのが「落とし穴の予知」で、ハマりどころを先回りしてカバーし、運用がスムーズに進むよう最後まで支援するのがPSの役目だと須田氏は念を押す。