米GitHubは、同社が提供しているAIアシスタントサービス「GitHub Copilot」に、企業や団体で独自に設定しているコーディングスタイルや記法を学習させる機能を限定ベータ版として9月10日(現地時間)に追加した。同社が提供しているサブスクリプションサービス「GitHub Copilot Enterprise」(1ユーザー当たり月額39米ドル)の機能として、一部の限定ユーザーを対象に提供する。利用を希望するユーザーは待機待ちリストに登録する必要がある。
この機能は、企業や団体で管理しているコードを学習させることで、独自のスタイルや記法を覚え、コーディングの際に、文法的に正しいだけでなく、独自のスタイルや記法に従ったコードを提案するようになるというものだ。独自のAPIや独自のフレームワーク、独自の言語を使っている場合も、その内容を学習して、コーディング時に適切なコードを提案する。
GitHubはこの機能が役に立つ例として、金融機関がCOBOL言語で作成したプログラムをメンテナンスする場合や、法的制約やセキュリティを守るために独自実装のライブラリを使っており、プログラムをクラウドにデプロイする際にも、厳格な社内規定を守らない蹴ればならない医療関連企業などを挙げている。
今回の新機能を提供するためにGitHubは、大規模言語モデルの学習に「LoRA(Low-Rank Adaptation)」と呼ぶ手法を取り入れた。この手法は、モデル全体の追加学習や再学習をすることなく、ごく一部のパラメーターのみを対象に教師あり学習を可能にするものだ。この手法を採用することで、モデルを効率良く、管理しやすい状態に維持することができる。そして、既存の微調整の方法に比べて高速かつ低コストで利用できる。GitHubは、今回の新機能を提供するための学習に使ったユーザーのデータを、他のユーザーのモデルの学習に使わないようにすることで、セキュリティを守るとしている。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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