はじめに
四半期の売上、窓口担当者、利益幅の動向...そのほか何であれ、データは企業にとって活動の基礎となるものです。中間管理職のためにPowerPointプレゼンテーションを作成する新米社員から、有望な販売先を何とか獲得しようとする頑張り屋の販売担当者に至るまで、すべての従業員が種々の企業情報に簡単かつ便利にアクセスできることが求められます。最初の要件である「簡単さ」は、インターネットによって既に解決されています。今日、企業データには事実上どこからでもアクセスできます。会社のイントラネットで、ホテルのワイヤレスネットワークを介してノートパソコンから、あるいは携帯電話を使ってタクシーの中からでもアクセスできます。しかし、2番目の要件である「便利さ」は、それほど単純ではありません。
便利なデータアクセスという要件は、なかなか厄介な問題です。というのも、生のデータを提供しただけではほとんど役に立たないからです。データは首尾一貫したやり方で集計され操作されてはじめて利用できるようになります。ユーザーがデータのコンテキストを容易に把握し、大局的な観点から理解できるようにしなければなりません。そのための最もうまいアプローチの1つは、データを視覚化する方法をユーザーに提供することです。この場合、たいていはスプレッドシートまたはグラフ作成機能(あるいは両方の組み合わせ)が使われます。しかし、データの書式化にかかわる退屈な作業からユーザーを解放してあげたいと思ったら、どんな方法を使用すればよいのでしょうか。
このチュートリアルでは、PHPおよびFlashでグラフを作成するための強力なソリューションである「PHP/SWF Charts」を紹介します。PHP/SWF Chartsは多様なグラフ形式をサポートしており、横棒グラフ、ローソク足グラフ、3次元の縦棒グラフ、円グラフ、3次元の円グラフ、散布図、極グラフ、コンポジットグラフなどがあります。具体例については、maani.usのPHP/SWF Chartsギャラリーを参照してください。本稿の例では棒グラフを使用していますが、PHP/SWF Chartsを使用すれば単純でも非常に見映えのよい棒グラフを生成できることがわかるはずです。
厳密にはオープンソースと言えませんが、それでも無料バージョンの使用および配布が可能です。有料バージョンもあります。有料バージョンでは、サポートなど、無料バージョンにない特典が加わります。ライセンスオプションの詳細については、PHP/SWF Chartsの公式サイトを参照してください。
PHP/SWF Chartsのインストール
PHP/SWF Chartsのインストールは簡単です。まず公式Webサイトに行き、最新バージョンをダウンロードします(ダウンロードページ)。3種類の形式(TAR、ZIP、SIT)が用意されているので、自分のオペレーティングシステム(それぞれUnix/Linux、Windows、OS X)に合ったアーカイブ形式を選べます。
次に、ダウンロードしたものをWebサーバーのルートディレクトリ内のどこかのディレクトリ(たとえば、/usr/local/apache/htdocs/charting/)に展開します。それだけです。これでPHP/SWF Chartsを使用する準備ができました。