米IBMは、ニューヨーク州アーモンクで開催されている年次イベント「Think」において、エンタープライズAIを拡張する上での長年の障壁を打破し、企業が自社独自の企業データを使用してAIエージェントを構築、展開できるようにする、新たなハイブリッドテクノロジを5月6日(現地時間)に発表した。
同社は、企業によるAIエージェントの実用化を可能にすべく、以下のような機能を備えたwatsonx Orchestrateにおけるエンタープライズ対応エージェント機能の包括的なスイートを提供している。
- すべてのユーザー向けのノーコードからプロコードまで、あらゆるフレームワーク上に構築されたエージェントの統合、カスタマイズ、デプロイを容易にするツールにより、5分以内に独自のエージェントを構築可能
- 人事、営業、調達といった領域特化型の事前構築済みエージェントに加え、Web調査や計算などのより簡易なアクションを実行するユーティリティエージェントも搭載
- Adobe、AWS、Microsoft、Oracle、Salesforce(Agentforce)、ServiceNow、Workdayなどのプロバイダが提供する80以上の主要なエンタープライズアプリケーションとの統合
- ワークフローの計画やベンダ間の適切なAIツールへのタスクのルーティングなど、複雑なプロジェクトに必要なマルチエージェント、マルチツールの調整を処理するエージェントオーケストレーション
- エージェントのライフサイクル全体にわたるパフォーマンス監視、ガードレール、モデルの最適化、ガバナンスのためのエージェントのオブザーバビリティ
あわせて、watsonx Orchestrateへ新たにAgent Catalogを導入し、IBMやBox、MasterCard、Oracle、Salesforce、ServiceNow、Symplistic.ai、11xといった広範なパートナーエコシステムが提供する、150以上のエージェントや事前構築済みツールへのアクセスを簡素化する。
また、柔軟性に欠けるワークフローを、インテリジェントかつエージェント主導の自動化に置き換える、次世代ソリューションwebMethods Hybrid Integrationを発表した。同ソリューションによって、ユーザーはハイブリッドクラウド環境でのアプリケーション、API、B2Bパートナー、イベント、ゲートウェイ、ファイル転送などに散在する統合の管理が可能になる。
さらに、watsonx.dataを進化させることによって、組織が契約書や表計算シート、プレゼンテーションに埋もれている非構造化データを活用して、より正確で効果的なAIを推進できるようにする。進化したwatsonx.dataは、オープンなデータレイクハウスとデータリネージュトラッキングやガバナンスといったデータファブリック機能を統合することで、顧客が異なる部門間、フォーマット間、クラウド間でデータを統合、管理、アクティブ化を可能にすべく支援を行う。また、フォーマットやパイプラインを横断してデータをオーケストレーションするための単一インターフェースツールであるwatsonx.data integration、AIを活用したテクノロジを使用して非構造化データから深い洞察を抽出するwatsonx.data intelligenceを発表した。これらの製品はスタンドアロンで提供されるが、一部の機能はwatsonx.dataからも利用できる。
ほかにも同イベントでは、コンテンツアウェアストレージ(CAS)機能がIBM Fusionのサービスとして利用可能となり、第3四半期にはIBM Storage Scaleのサポートが予定されていることや、データ、アプリケーション、信頼できるAI向けのもっとも安全でパフォーマンスの高いLinuxプラットフォームとなるIBM LinuxONE 5、AMD、CoreWeave、Intel、NVIDIAとのGPU、アクセラレータ、ストレージに関する協業の拡大などが発表されている。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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