VS2008でできること……その前に
VS2008では、さまざまな新機能の追加や機能のブラッシュアップが行われました。いきなりそれらを説明する前に、まずは少しリラックスできる(話のネタになる)部分を軽く紹介しておこうと思います。VS2008で開発を行う際にはほぼ役に立たない内容ですが、へぇ~という感じでご覧ください。
見た目の改善
最近のMicrosoft系のセミナーでは、User Experience(日本語ではユーザー体験と訳されています)の向上ということが非常に多く謳われてきました。アプリケーションの良さを決定づける重要な要素として見た目の綺麗さも見過ごすことはできないというものです。それにならってかどうかは定かではありませんがVS2008でも非常に細かいポイントで見た目の改善が行われています。例えば次の図5を見てください。
これはVS2008のスプラッシュウィンドウ(起動時に表示される画面)です。VS2005と比べ、微妙に変更されています。分かりやすいように○の内側は隅を拡大しています。VS2005をお持ちの場合は、ぜひ起動して確認してみてください。
次は図6を見てみてください。
これは、VSを起動したときに表示されるスタートページのロゴ部分です。分かりやすいようにVS2005とVS2008を並べてみました。見た目としてどこが違うか分かりましたか? 実は「Visual Studio 2005」「Visual Studio 2008」と書かれている部分の背景色、およびフォントが変更されています。背景色はさておき、フォントは先にリリースされているMicrosoft Expressionシリーズで利用されているものと同じ見た目のシャープなフォントが利用されています。これらの部分は開発とはまったく関係ありませんが、アプリケーション(Visual Studio)のイメージを決定づける大切な要素の一例と言えるかもしれません。
VS2008でできること
だいぶ余談が長くなってしまいました。ここからはアプリケーション開発に大きなインパクトを与えるものについて見ていきたいと思います。大きな点から細かい点までさまざまな変更がありますが、ここでは大枠としてどういったことが可能となっているかをピックアップして解説していきます。
WPF/WCF/WF開発
2006年の年末から2007年初めにかけて、.NET Framework 3.0がリリースされました。これにより、.NET Framework 2.0に機能追加する形でWindows Presentation Foundation(WPF)、Windows Communication Foundation(WCF)、Windows Workflow Foundation(WF)、Windows Card Space(WCS)という4つの新しい機能が追加されました。VS2008はその後にリリースされる初めてのVisual Studioであり、ようやくこれからの開発がサポートされることとなります。
図7のようにVS2008のデザイナを利用して、WPFやWFを利用したアプリケーションを開発できるようになりました。WPF/WCF/WFを利用したVS2008の開発は個別の回を設けて紹介しますので、そちらをご期待ください。
Windowsアプリケーション開発
従来型のWindowsアプリケーションの開発は、VS2008でも大枠として主だった変更は特にはありません。VS2005で培ったノウハウを利用して今までどおりに開発を行うことができます。さらに、従来型のWindowsアプリケーションにWPFのような、より綺麗な見た目を追加することもできるようになりました。
図8は上がWPFで作成したボタン(分かりやすいようにテキストを回転させています)、下が通常のWindowsのボタンです。
Office開発
VS2008では、Office 2007用のOfficeカスタムアプリケーションの開発が可能です。VBAのように特定のドキュメントのためのものや、Word/ExcelといったOfficeそのものの拡張を行うアプリケーションの開発が可能です。また、Word/Excelなどの右側に表示される作業ウィンドウの拡張やOffice 2007で導入されたリボンの拡張などを行うこともできるようになっています。
VS2008でOffice開発を可能とするVisual Studio Tools for Office(VSTO)については別の回で詳しく紹介しますのでご期待ください。
Webアプリケーション開発
VS2008を利用したWebアプリケーション開発で最も注目すべきポイントは、やはりAJAX Webアプリケーション開発のサポートです。.NET Framework 3.5の一部としてASP.NET AJAXが統合されたこともさることながら、VS2008ではJavaScriptの開発支援機能として、JavaScriptのインテリセンス機能の強化や、JavaScriptのデバッグ機能が追加されたことところは大きなポイントです。
また、Visual Studio Team SystemでもAJAX開発をサポートする機能が追加となっています。これらに支えられ、VS2008ではAJAX Webアプリケーションの開発がより容易に行えるようになります。
ASP.NET AJAXおよびVSTSは、別の回にて詳しく紹介する予定です。
まとめ
今回は、VS2008によって開発することが可能なアプリケーションの種類を中心に、VS2008で可能なことを概観しました。VS2005以降リリースされたさまざまな製品、機能に対してその開発をサポートする多くの機能が搭載されたことを理解いただけたのではないかと思います。
この連載では今後、.NET Framework 3.5の新機能や、.NET Framework 3.0で追加になったWPFなどの強化点、本稿で紹介した内容の詳細などを数回に分けて解説していく予定です。次回は、VS2008を利用していく上で便利になったポイントを中心に紹介します。