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一歩進んだAndroidアプリ開発ができる「Android Jetpack」入門

型安全なナビゲーションとKotlin DSLによるナビゲーション

一歩進んだAndroidアプリ開発ができる「Android Jetpack」入門 第16回

 本連載は、「Android Studio2で始めるアプリ開発入門」連載、および『Androidアプリ開発の教科書』の続編にあたる内容として、Jetpackを取り上げていきます。前回は、画面遷移を管理してくれるナビゲーションコンポーネントの概要とナビゲーショングラフの使い方、ナビゲーションによる画面遷移を紹介しました。今回は、ナビゲーションを型安全に利用する方法とKotlin DSLによるナビゲーションの定義方法を紹介します。

型安全なナビゲーション

 本連載は、Android Jetpackを紹介しています。今回は、ナビゲーションコンポーネントを利用する際に、型安全に利用する方法から紹介していきます。

 なお、今回のサンプルデータは、GitHubから参照できます。

navigate()の引数がR値である問題

 前回、別のフラグメントへ画面遷移するコードとして、次のコードを紹介しました。

navController.navigate(R.id.action_memoListFragment_to_memoDetailFragment, arguments);

 画面遷移を行うために、取得したNavControllerインスタンスのnavigate()メソッドの実行コードです。その際、引数としてアクションのR値を渡します。

 このR値によるアクションの指定の場合、間違ったアクションを指定しても、そのアクションがアプリ全体として存在している限りは、コンパイルが通ってしまい、実行してみて初めてバグに気づくといった問題があります。

型安全ナビゲーションのSafe Args

 この問題を解決する仕組みとして、ナビゲーションコンポーネントには、Safe Argsがあります。これは、ナビゲーショングラフの設定にしたがって自動生成されたクラスを利用するものです。

 このSafe Argsを利用した画面遷移のコードは、Javaではリスト1、Kotlinではリスト2のようになります。

[リスト1]MemoListFragment.java
NavController navController = NavHostFragment.findNavController(MemoListFragment.this);
MemoListFragmentDirections.ActionMemoListFragmentToMemoDetailFragment action = MemoListFragmentDirections.actionMemoListFragmentToMemoDetailFragment();  // (1)
navController.navigate(action);  // (2)
[リスト2]MemoListFragment.kt
val navController = NavHostFragment.findNavController(this@MemoListFragment)
val action = MemoListFragmentDirections.actionMemoListFragmentToMemoDetailFragment()  // (1)
navController.navigate(action)  // (2)

 自動生成されたクラスの名前は、遷移元であるクラス名にDirectionsがついたクラスです。例えば、前回のリスト1のナビゲーショングラフが定義されている場合、MemoListFragment → MemoDetailFragmentへの画面遷移となります。その場合は、MemoListFragmentDirectionsとなります。

 さらに、アクションのidをキャメル記法に変換したstaticメソッドが自動生成されています。前回のリスト6の場合は、アクションのidがaction_memoListFragment_to_memoDetailFragmentなので、自動生成されたメソッドはactionMemoListFragmentToMemoDetailFragment()です。これら自動生成されたクラスとそのstaticメソッドを実行しているのが(1)です。

 リスト1のJavaコードの方を見るとわかるように、この戻り値の型は、これまた、アクションのidをキャメル記法に変換した名称、すなわち、アクションに対応したメソッドと同名クラスとなります。しかも、このクラスは、遷移元のDirectionsクラスのメンバクラスとして自動生成されています。

 このように生成されたAction〇〇のインスタンス、すなわち、action〇〇()メソッドの戻り値を、リスト1、およびリスト2では変数actionとしています。そしてこのactionを、そのままnavigate()メソッドの引数として渡すことで、R値を利用した遷移の代わりとなります。それが(2)のコードです。

 このように、ナビゲーショングラフの定義を元に各種クラスとメソッドが自動生成されており、そのメソッドの戻り値をnavigate()メソッドの引数として渡す仕組みにより、遷移の指定ミスを防ぐことができます。

Safe Args利用設定

 ただし、このSafe Argsを利用するためには、前回紹介したナビゲーションコンポーネントの依存ライブラリの他に、プロジェクトへの設定が必要です。

 まず、build.gradle.kts(Project)ファイルにリスト3のbuildscriptプロパティを追加します。なお、バージョン番号は、ナビゲーションコンポーネントの原稿執筆時点での番号です。

[リスト3]build.gradle.kts(Project)へSafe Argsを利用する設定
buildscript {
  repositories {
    google()
  }
  dependencies {
    classpath("androidx.navigation:navigation-safe-args-gradle-plugin:2.9.6")
  }
}

 その後、build.gradle.kts(Module)ファイルのpluginsプロパティにリスト4のidを追記します。

[リスト4]build.gradle.kts(Module)へSafe Argsを利用する設定
plugins {
  id("androidx.navigation.safeargs")
}

次のページ
画面遷移時の型安全なデータ渡し

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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