日本を代表する老舗企業のデジタル活用の実態
パネルディスカッションのテーマは「イオン・モノタロウ・LIFULL・LIXILが語るプロダクトリプレイスの実例 システムリプレイスの裏側にある組織と技術の葛藤に迫る」。登壇したのは、イオンネクスト技術責任者CTOの樽石将人氏、イオンネクストIT部、エンジニアリングマネージャの篠田健氏、モノタロウ CTOの普川泰如氏、LIFULL執行役員CTOの長沢翼氏、LIXIL常務役員CX部門リーダーの安井卓氏の5人。いずれもリプレイスを実行してきた技術責任者である。司会進行はGENDA Platform Engineering Chapterのマネージャーであり、ZINEでは取締役CTOの池田健人氏が務めた。
パネルディスカッションに入る前に、登壇者5人による簡単な自己紹介とLTが行われた。一人目は樽石氏。RedHat、Google、楽天、Rettyなどを経て、2022年3月よりイオンネクストに参画。現在は、技術責任者CTOを務めている。
2人目の篠田氏は2025年2月にイオンネクストに参画。エンジニアリングマネージャを務めている。新卒で日本ユニシス(現BIPROGY)に入社。その後、リブセンス、マネーフォワード、MODEでエンジニアとして経験を積んだ。
樽石氏、篠田氏が所属するイオンネクストは、イオングループによるDX戦略のスタートアップ企業。AI(スマートカート)などデジタル技術を最大限生かしたサービスを展開している。また注文から配送まですべて自社でまかなう「イオンネクストプラットフォーム」も自社で構築している。
3人目の普川氏はSIerを経てオイシックス・ラ・大地に入社。同社でシステム副本部長を務めた後、19年にモノタロウに入社した。「大半をEC畑でシステムを作ってきた」と普川氏は話す。
モノタロウはBtoBを対象に間接資材の在庫を持ち、オンラインで売るEC企業である。扱っている商品点数は2637万点と、商品点数が多いのも同社の特徴だ。
売り上げは順調に増加しているが、その裏側で「業務の複雑性も増加し、システムはその成長についていくのに大変な状況になっている」と普川氏。同社のシステムはすべて内製で開発。システムはマイクロサービス化し、それぞれ独立的に改善できるように取り組んでいるという。
4人目の長沢氏は08年にLIFULLに入社。不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」のWebやiOSアプリを開発したり、海外拠点の取締役についたり、生成AIの専門組織を立ち上げ、プロダクトをリリースしたりしている。
生成AIの活用にも積極的に取り組んでおり、LINEアプリ「AIホームズくん BETA LINE版」はその一例である。
5人目の安井氏は17年にLIXILに入社。CX部門リーダーとしてLIXIL国内エンドユーザーとの接点業務を担当するなど、マーケティング部門を見ている。またDigital部門CX Digitalリーダーとして、デジタル技術を武器にビジネス変革も担っている。安井氏は普川氏が参画する前のモノタロウに所属、IT部門を牽引していた。
LIXILは日々暮らしの課題を解決する製品をグローバルに提供している。今回登場している企業の中で唯一の製造業であり、100年以上のブランドの歴史を有する大企業。「なかなか骨が折れることも多い。だけど、それを変化させていくことを日々、楽しんでいる」(安井氏)
