4月23日、テストに焦点を当てた開発者向けカンファレンス「Developers [Test] Summit 2008」が開催された。その中から、アジャイル開発手法導入について事例紹介を行った、パナソニックシステムソリューションズ社の河本耕治氏によるセッションの概要を紹介する。
翔泳社は23日、テストに焦点を当てた開発者向けカンファレンス「Developers [Test] Summit 2008」を開催した。本家「Developers Summit」参加者からの要望によって実現した今回のイベントでは、「テストの量と質を考察する」をテーマに5つのセッションが行われた。その中から、パナソニックシステムソリューションズ社の河本耕治氏によるセッションの概要を紹介する。
現状を変えるには新しいことをやるしかない
システム開発の現場が置かれている環境は厳しい。状況の打開には何らかのアクションが必要であることも理解している。しかし、変革が非常に難しいことも現実だ。
「チームで実現!ソフトウェア品質向上への挑戦」と題した河本氏のセッションでは、同氏が行ったアジャイル開発手法導入に関する取り組みの中から、「ペアプログラミング」「テスト駆動開発」「反復型開発」などの品質面に関わる部分を中心に事例紹介が行われた。
「開発期間の短縮」「厳しい品質基準」「要求の複雑化」など多くの圧力にさらされる中、「このままでは開発者が幸せになれる現場をつくれない」という危機感から始まった河本氏の取り組みだが、道のりはやはり平坦ではなかった。新しい手法に対する懐疑や反発といった拒絶反応に始まり、開発手法の理論と現実のギャップ、手法の目的化やマンネリ化などさまざまな壁に直面する。
自社の文化に合わせたカスタマイズや一定期間の強制運用など、課題に対する試行錯誤の過程を盛り込んだ発表は、プロジェクトの改善を望む開発者にとって示唆に富んだ内容となっていた。
「アジャイル開発手法の実践により得られる生産性や品質の向上はあくまで表面的な効果。プラクティスに捉われず、それらを利用することによってチームの意識や結束力を高めることが重要」と河本氏は語る。
最後に「今回紹介した取組みを直接導入することは難しいと思うが、少しでも皆さんの現場の笑顔を増やすためのヒントとなれば幸いです。」と参加者へエールを送り、セッションを締めくくった。
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