プレイングマネージャーから「マネージングプレイヤー」へ
学び直しの1年を経て、濱﨑氏はAI時代の管理職像を「Do・Design・Delegate・Decide」の4つのサイクルとして描く。自ら学び体験する「Do」を起点に、そこから得た体験をもとにビジョンや方向性を示す「Design」、思い切って任せる「Delegate」、結果を理解した上できちんと判断・フィードバックする「Decide」を高速に回し続けるというものだ。「体験から世界観を想像できるからビジョンを示せる」し、示せるからこそ思い切って任せられる、と濱﨑氏は説明する。
これまでの管理職は、管理・調整業務に追われながら残った時間で実務を担う「プレイングマネージャー」であることが多かった。しかしAIの登場によって管理・調整の負荷を圧縮できるようになり、Doの体験を起点に4Dサイクルを回す「マネージングプレイヤー」への転換が可能になったと濱﨑氏は語る。濱﨑氏自身、あらゆるインプットを一旦マークダウンに落とし込み、ChatGPTやCopilotを使い分けながら思考やアイデアを育て、最終的に業務へ落とし込むという独自の「AI-IN・AI-OUT」の仕事の仕方を実践している。「私が今日この場に立てているのも、AIのおかげだ」と濱﨑氏は言う。
「今日が人生で一番若い日」に込めた、技術を体験し続けるという結論
セッションの冒頭で投げかけた「管理職は技術から離れていていいのか」という問いに、濱﨑氏は改めて向き合う。会場に「管理職も技術は大事だと思う人」と挙手を求めると、多くの手が挙がった。昨今の技術進化は体験しなければわからないほど速く、これまで1〜2年かけて起きていた変化が2カ月、3カ月というスパンで起きる時代になった。今この場に多くのエンジニアが足を運んでいるのも、リアルな体験の価値を皆がわかっているからだと濱﨑氏は指摘する。
今後、デジタル上での疑似体験はますます容易になり、知識と同じようにコモディティ化していく。だからこそ、リアルな体験の価値は失われるどころか、相対的に高まっていくと濱﨑氏は考える。「管理職も技術を体験しなければ、正しい意思決定はできない」というのが、1年間の学び直しから導き出した結論だ。
内製化は目指す姿を実現するための手段であり、変革は誰でも小さく始められる。そして管理職も技術を体験しなければ正しい意思決定はできない。これが濱﨑氏の3つの結論だ。最後に濱﨑氏は、自身のチームメンバーに言われたという「今日が人生で一番若い日」という言葉を紹介した。何かを始めるのに遅すぎることはない。「変化も成長もとても楽しいことです」。AIによってエンジニアの役割が奪われるのではという不安の声もある中、濱﨑氏は「こんなに面白い時代はない」と語り、変化を楽しみながら共に頑張っていきたいと締めくくった。
