AI活用の本当の課題は、AIではなくデータだった。生成AIの全社展開を加速するガバナンスと責任分解
【B-5】AI推進室がAI審査室になりかけた話 ~生成AI活用を加速するためのデータガバナンスと組織設計~
ルールだけでは人は動かない──コミュニティが「使ってみたい」を生む
審査の仕組みが整うと、次の課題が見えてきた。申請を出してくる意欲的な社員はごく一部だ。「使っていいよ」とは知っているけれど、自分の仕事にどう活かせばいいかわからない、忙しくて一歩が踏み出せないといった社員がマジョリティだった。「『使ってよい』という状態から『使ってみたい』に変えるために、コミュニティ活動を始めました」と松山氏は言う。
取り組みは4つだ。現場の社員が自分の言葉で語るLT(ライトニングトーク)会、他部署の成功を横に展開する活用事例共有イベント、実際に手を動かして試すハンズオン、そして常時、非同期に情報共有できる社内Slackチャンネルの開設。どの取り組みでも、AI推進室は「教師」として引っ張るのではなく、実際に使っている社員と一緒に企画し、テーマも進行も共同で決める。「実際に使っている人が話す方が説得力があります。いずれは我々が入らなくても、ユーザー主導でイベントが始まっていく世界を目指しています」。
AIを活用できる組織をつくることが、AI推進室の本当の仕事
こうした取り組みを経て、AI推進室に届く相談の性質が変わってきた。かつては「使えますか?」「禁止ですか?」「どうすればOKになりますか?」と可否を確認する問い合わせが中心だった。今では「こういうことをやりたいんだけど、どう組めばいい?」「業務ごと見直したい」という、実現の仕方を一緒に考える相談へと変わっている。
今後の展望として松山氏が掲げるのは、個別最適から組織最適への移行だ。現状は個人の効率化やチームの業務プロセス改善が中心だが、部分的な効率化では組織全体の成果には限界がある。業務の入口から出口まで俯瞰した上でテーマを選び、組織横断で取り組む体制を今まさに組み始めているところだという。
セッションを締めくくる言葉として、松山氏はこう語った。
「私たちが取り組んでいるのは、AIを安全に活用し、業務成果につなげられるような組織作りです。利用ルール、データの分類、ロジック、コミュニティ、これらはすべてそのための手段です。組織全体で判断して学び、改善できる状態を作ること。それが審査室になりかけた経験から得た一番の学びです」
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DeveloperZine編集部(デベロッパージン編集部)
DeveloperZineは、株式会社翔泳社が運営する、技術と組織の意思決定を支える情報メディアです。技術選定やチームづくりに向き合い、自分の判断を確かなものとしたいエンジニアやエンジニアリングリーダーに向けて、翔泳社主催エンジニアイベント「Developers Summit」とも連動しながら実践知...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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山本 薫(ヤマモト カオル)
1977年山口出身。九州ビジュアルアーツ写真学科を卒業後、福岡の広告撮影スタジオに3年間勤務。2002年より出版社の写真部にて、さまざまな撮影業務に携わる。2008年に独立しフリーランスカメラマンとして活動を開始。現在はブライダルをはじめ広告・料理・店舗撮影など幅広い分野で活動中。
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提供:株式会社セゾンテクノロジー
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