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第19回 ソフトウェア開発環境展のIBM社ブースレポート

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ビジネスの目的に応じた品質の管理が可能なRational Quality Manager

 RQMは、ビジネスの目標に即したテスト計画や、ワークフローの制御、トラッキング、プロジェクトに関する決定および成果物の評価を支援するためのツールだ。もともとRationalでは、HTML内のフォームへの投稿やボタン操作など、機能の繰り返しテストや負荷テストの自動化ツールを提供しているが、RQMはテスト作業だけでなく、テストやテストケースの作成、結果のレポーティングや障害登録といった、テストの種別に関わらず、テストの流れを管理するものだ。

Rational Quality Managerでは、さまざまなテストの流れを管理できる
Rational Quality Managerでは、さまざまなテストの流れを管理できる

 また、テスト計画の作成においては、前述のRRCで決定した要求事項をインポートすることができる。これまでのテストは、画面イメージを見ながら、担当者が場当たり的にテストケースを挙げているのが実情だ。例えば、300件必要なテストに対し、100件しかやらなかったり、50件で済むのに100件もやってしまったりと、ビジネス全体の流れに沿ったテストを行っているとは言えない。

 RRCから初期の要求をインポートして連携することにより、効率的なテスト計画ができる。テスト計画の画面では、テスト概要の説明のほかに、ビジネスの目標は何かということも表示される。顧客とテスターが品質を上げるためのテストの情報を共有するのが目的だ。

 テストの準備状況のレポートもある。モジュールを違うエリアで管理するケースも想定し、担当者ごとのテストの割り当て状況を見ることができる。このほかテスター支援としては、ラボ管理がある。同じアプリケーションで同じテストだが、プラットフォームやブラウザなどの環境が違うケースなどは、それぞれのテストケースを作る必要があるが、環境を選択すると自動的にテストケースを生成してくれる。

プロジェクト状況を示すRational Quality Managerのダッシュボード
プロジェクト状況を示すRational Quality Managerのダッシュボード

 こうしてテストケースを顧客が確認し、対象ブラウザなどのテスト項目の優先度を指示し、それに基づいてリリース基準を作る。テストにおいても顧客とのコラボレーションを行うことで、双方が納得した状態の品質でアプリケーションをリリースできる。

テストの品質を下げないデータベース利用のアプローチ

 品質管理という面では、RRCとは別に、セキュリティに関するソリューションの説明もあった。情報漏洩の7割くらいは、社内の人間が情報を持ち出すケースという報告もあることから、テストにおいてマスターDBを使用せず、擬似的なデータを作成して行うことが多いという。この場合、あくまでも擬似的でマスターとは異なるため、複雑なテストができない。かといってマスターのDBを使うと持ち出されるリスクが生じるというジレンマがある。

 そこで、マスタDBを使いながら、重要な情報はマスキングして隠す製品が『Optim Test Data Management Solution』だ。いい加減なデータを使ってテストの品質を下げるくらいなら、構造の正しいデータを用意するほうが、テスト準備の時間が短縮される。

オープンソース環境の管理コストは馬鹿にならない

 最後に、顧客の反応についてたずねると、RTCについては『これで全部できますね』という意見が多いとのことだ。

 RTCでは、開発標準をツールが解釈してサポートしてくれる機能がある。一般的に、開発標準を決めてもそれが使われないという問題や、開発者が開発標準に常に縛られながら作らなければならないというプレッシャーもある、結果ルールが守られなくなる。共有領域にソースコードを変えて投稿した際、ルール違反が発生すると自動的にチェックして表示してくれ、さらにその解決策の候補を挙げてくれる。この機能により、プロジェクトの開発標準に沿ったコーディングが可能となる。これまでルールを意識しながら作っていた開発者は、この機能があることによって心理的な負担が軽くなる。こうしたプロセスの自動化は、今後もほかの製品にも対応していくそうだ。

 また、TracやSubversionなど、オープンソースのバージョン管理ツールを使用する場合、スキルのある技術者がセットアップなどで時間をとられてしまうことが多い。それと比較すると、RTCのインストールやアップデートは簡単だ。管理の手間が減ったという顧客の声もあるという。オープンソースは初期投資がないので安いというイメージがあるが、実際、管理を考えると、スキルある人がそれに対応するコストを考えなえればならない。そんな時間があるのであれば、能力のある人が本来の仕事にもっと多くの時間を費やすことを考慮すべきかもしれない。

 RTCのエディションは、サーバあたりの最大利用ユーザー数などに応じ、3種用意されている。3種とも3名のクライアント分は無料となる。最大ユーザー数10人の「Express-C」の場合、サーバ無料で、クライアントは1名あたり約18万。最大50名の「Express」は、サーバが80万円でクライアントは同じく約18万円を人数分。大規模開発を意識した最大250名の「Standard」は、サーバが約750万円で、クライアントは1名あたり56万円。「Standard」は、管理情報やプロセスをカスタマイズする機能もあり、マネージャーが細かい設定をできるようになる。まずは3ライセンスの無料版を使ってみて、評価をしてほしいとのことだ。

 RRCやRQMの展示についてもコンスタントに人が訪れていることから、要件定義や品質管理への関心が高まっている手ごたえを感じているとのことだ。

Webcast公開と資料ダウンロード

 「ソフトウェア開発環境展(SODEC)」のIBM Rationalブースで行われた、7つの講演を再現するWebcastが公開されました。簡単なアンケートに答えると、セッション資料をダウンロードすることもできます。

 

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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