PersistenceManagerはクローズする
もうひとつ筆者がハマった点は、「必ず PersistenceManagerをクローズしてからオブジェクトをBlazeDSに渡す」という点です。PersistenceManagerは、 Entityオブジェクトの保存に加えて、上述のような親オブジェクトから子オブジェクトへの参照取得(ナビゲーション)にともなうBigTableの読み込みを司ります。つまり、上記コードのfinally節にて記述されている「pm.close()」によってPersistenceManagerがクローズされるまでは、「EntityオブジェクトとPersistenceManagerがひも付いている状態」となります。
この状態のままEntityオブジェクトをBlazeDSのリモート呼び出しの戻り値として渡してしまうと、リモート呼び出し時に例外が発生してしまいます(これと同様のことはHibernateにてセッションをクローズしない場合にも起こります)。よって、リモート呼び出しの戻り値は、必ず上記 finally節の外側で戻す必要があります。
主キーは「Key as Encoded String」にする
最後の落とし穴は、Entityクラスの主キーです。Datastore APIにて主キーを定義するもっとも簡単な方法は、long型のidフィールドを用意することです。そこで筆者は当初long型のidを用いていました。しかしこのタイプの主キーでは、上述したような親オブジェクトから子オブジェクトへのナビゲーションに対応していません。親から子へのナビゲーションを使うには、BigTableにおける主キーを表す「com.google.appengine.api.datastore.Key」型のフィールドを設ける必要があります。
しかし、これでも不具合があります。このKey型のフィールドは、BlazeDSにてAMFのシリアライズを実施すると、キーの内容が失われてしまうのです。そこで筆者はさらに修正を加えて、Datastore APIのドキュメント上で「Key as Encoded String」と分類されている方法で主キーを実装しました。これは、上記のKeyオブジェクトの内容をString型にエンコードする方法で、主キーのフィールドには以下のようなアノテーションを追加します。
@Extension(vendorName="datanucleus", key="gae.encoded-pk", value="true") private String key;
これによって、やっとEntityクラスの主キーを無事にFlexクライアントにも渡すことが可能となりました。
以上、本稿では「ご都合.com」の開発を通じて筆者が得た「GAE/J+BlazeDS」のtipsを紹介しました。ここで紹介した落とし穴さえ避ければ、この2つの技術のコンビはじつに強力な生産性を発揮します。ぜひ皆さんもお試しください。